Chapter.003 母親
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お幸せにね」
再び礼を告げて駐車場に出る螢一。
胸のあたりから軽快な電子音。スマートフォンを取り出すと発信者の名前を見て驚いた。
「げ、桂馬さん」
ともかく出ないわけにはいかないので通話をタップする。
『恵から聞いたぞ』
「あ、えーと」
『いろいろと話したいことがあるんだが、俺は急な仕事でそっちには行けない』
ほっと胸をなでおろす螢一だが、次の一言で凍りついた。
『だから、鷹乃が向かう。明日の昼頃には着けるだろう、覚悟しておけ。ああ、それとな「男ならいくつになっても胸の奥底に大きな絵を掲げておけ」以上だ』
一方的に通話を切られて呆然とする螢一であった。
「大きな絵ってなんだ?」
ともかくいつまでもこうしてはいられないので、愛車に跨り家路についた。
愛車をガレージに着けると、ベルダンディーが飛びかからんばかりの勢いで抱きついてきた。
「螢一さん!!」
「え、わ!?」
「もう、心配したんですよ。こんな時間まで何をしていたのですか」
「こんな時間てまだ、え!?」
腕のコスモノートを確認すると午前零時を過ぎていた。
「は? なんでこんな時間に……」
ウルドは少々憤りを感じさせる口調で。
「あんなふうに飛び出して行ったじゃない? 心配してこの娘、あんたの気を探っていたのよ。そしたらまるまる二時間分気が探れなくなっちゃって、なだめるのに苦労したんだから」
「何処にと言われても……ポレポレで裕介さんに相談をして」
「ほんとにそれだけなの?」
「間違いないよ」
考え込むウルド。
さきにベルダンディーが動いた。
「ごめんなさい、少しだけ螢一さんの記憶を見せてくださいね」
自分の額を螢一の額によせてくっつけた。
ベルダンディーはこうすることで相手の記憶を読み取ることが出来る。ただし、ごく表層の記憶だけなのだが。
「二時間分、きれいに記憶が消されています。あと、この波長は……魔属!? もう一つ、神属の波長もします、でもこの波長は」
「感じたことのない波長よね。だけどベルダンディーの波長にすごく似てる──何があったの?」
「──覚えてませんけど」
そうよね、とウルド。
とにかく無事で良かったです。ベルダンディーは腕にすこし力をいれた。
「ほんとうに、本当に心配したんですよ」
「うん……ごめん。ありがとう」
ウルドの「とにかく今日はもう寝ましょう」の言葉に、一同、この日は就寝についた。
この「消された二時間」についてもあとで Chapter を立てて語るとしよう。
翌朝。
螢一の部屋。
「あなた、あなた。起きて下さい」
「あ……ベル。おはよう」
「珍しいですね、こんな時間まで寝ているなんて」
「え、今何時?」
「九時過ぎてますよ」
螢一はどんなに
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