第百五十話 妖怪がいる余裕その十三
[8]前話 [2]次話
「屑だな」
「そうよね」
「餓鬼道に堕ちた」
そうしたというのだ。
「正真正銘のな」
「屑でね」
「そうした屑はな」
まさにというのだ。
「人でも生きものでもなくなってるな」
「餓鬼ね」
「勿論修羅でもない」
そうした存在でもないというのだ、修羅とは常に戦い争う者達でその世界は人道の下畜生道の上にある。
「とことん浅ましく卑しく醜いな」
「どうにもならない存在ね」
「妖怪でもない」
餓鬼はというのだ。
「妖怪は色々楽しむが」
「餓鬼は常に不平不満ばかりよね」
「そうした性根だからな」
それ故にというのだ。
「幸せとか楽しいとかな」
「思わないのね」
「そうだからな」
それでというのだ。
「妖怪なんていいものじゃない」
「妖怪と人間の違いってね」
「外見や行動はかなり違うがな」
「性格は楽しくて明るくて」
「ユーモアがあってな」
「特に悪いこともなくてな」
そうであってというのだ。
「酷いものじゃない、しかしな」
「餓鬼は違ってね」
「楽しくも明るくもない」
そうした存在でというのだ。
「ただ餓えと渇きに苦しんでいるだけだ」
「だからこの学園にも餓鬼はいないのね」
「世界中の妖怪がいるがな」
「七不思議どころか百不思議はあって」
「それでもな」
そうした状況でもというのだ。
「餓鬼はいない」
「鬼はいてもね」
「天使や悪魔の話もあるがな」
「悪魔もこれといってね」
キリスト教では絶対の悪とされている彼等もというのだ。
「あまりね」
「悪い感じはしないしな、実は」
「結局は神様と敵対しているだけで」
「それで悪いかというとな」
「これがね」
その実はというのだ。
「そうでもないしね」
「だから悪魔もいるがな」
「そうなっているわね」
「しかし餓鬼はいない」
「餓鬼は妖怪じゃないってことね」
「ああ、妖怪はいると賑やかだがな」
「餓鬼がいるとね」
富美子はその場合について自分の考えで言った。
「不愉快ね」
「不平不満ばかりでな」
「そうした人達がなるもので」
「今話している連中は身体は人間でもな」
「心が餓鬼になってるのね」
「だからな」
「皆から嫌われるのね」
餓鬼にまで堕ちた性根故にというのだ。
「そうなるのね」
「そうなるな、だがな」
「だが?」
「布施餓鬼は功徳の一つらしい」
「お布施をすることも」
「そうらしい、しかしな」
それでもというのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ