第三百七十二話 自信のないジェネラルその七
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「絶対に許せません」
「今思うとそうですが」
「その教師がおかしいのです」
アマードに怒った顔で話した。
「断じて」
「そうですが僕に言われている気にもなり」
「アマード様はよくご自身が動きが遅いと言われていますね」
「それがコンプレックスでもあり」
そしてというのだ。
「恐怖でもあります」
「動きが遅いと殴られる」
「いつもそうも思って」
「劣等感と共にですね」
「はい」
まさにというのだ。
「意識していて」
「自信がおありでないですか」
「そしてビクビクもしています」
そうだというのだ。
「自分でもわかります」
「充分俊敏ですが」
「自分ではそう思っています」
「客観と主観の違いでしょうか」
「それありますね」
警官は署長の今の言葉に頷いた。
「自分では出来ていると思っていても」
「他の人から見れば出来ていないということがあるね」
「そうですよね」
「自分と他人は違うからね」
「見方も変わりますね」
「そう、それでね」
そうであるからだというのだ。
「どうしてもね」
「それはありますね」
「そうなんだよ」
署長は若い警官に話した。
「世の中にはね」
「それでアマード様もですね」
「我々から見れば素晴らしいことをしてくれている」
「素晴らしい方ですが」
「ご自身ではね」
即ち主観ではというのだ。
「そう思っているんだ」
「そういうことですね」
「どうしてもです」
アマードは弱い声で話した。
「自信が持てないのです」
「そうなのですね」
「生まれた国は明るく前向きな国民性ですが」
ブラジルはというのだ。
「そやけどです」
「それでもですか」
「どうしてもです」
「自信が持てないのですね」
「そうです、ですが」
それでもとだ、アマードは話した。
「それで何もしないということはないです」
「常に全力ですね」
「頑張っておられますね」
「常に努力してことにあたらないと」
そうでなければというのだ。
「どうにもならへんので」
「お仕事もですか」
「頑張っておられますか」
「出来ないと思って何もせえへんかったら」
そうであると、というのだ。
「そこから進めへんですね」
「はい、その通りです」
警官は身を乗り出す様にして答えた。
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