第三百七十二話 自信のないジェネラルその六
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「この街を少しでも平和で豊かにです」
「してくれますか」
「そうします」
確かな声で約束した、こうしてだった。
アマードはブラジリアで旗揚げをしてそのうえでだった。
街全体を治めはじめた、彼は市庁舎に入ってだった。
そこの執務室で政を行う様になった、すると。
「いや、まるで別の街です」
「見違えました」
署長と警官がアマードに話した。
「治安も衛生もよくなり」
「産業も整ってきています」
「就職率も就学率も上昇し」
「街はよくなっています」
「素晴らしいです」
「そうやとええですが」
アマードは市庁舎の会議室の中で二人に応えた。
「僕の政で」
「あの、どうもです」
署長は自信なさげなアマードにどうかという顔で言葉を返した。
「アマード様は自信がおありでないですが」
「よく言われます」
「起きられた世界でも」
「はい、常にそうだと」
「何でも出来ていますが」
署長は自分の見立てを話した。
「完璧と言っていいまでに」
「そうでしょうか」
「おそらく起きられた世界でも」
そちらでもというのだ。
「かなりです」
「出来ていますか」
「自信を持っていいかと」
「そうですか」
「現に市民は感謝しています」
「僕の統治に」
「左様です」
こう言うのだった。
「それもかなり」
「僕の政はええですか」
「今ではです」
警官も言ってきた。
「就職率が上がり犯罪はです」
「減っていますか」
「そうなっていて」
ブラジリアはというのだ。
「スラム街も平穏になりました」
「犯罪の温床ですね」
「そしてその生活水準もです」
スラム街のそれもというのだ。
「かなり改善されて清潔にもなっています」
「そうですか」
「ですから」
「それで、ですね」
「自信を持たれて」
警官も言うことだった。
「ことを進められていいです」
「そうですか」
「そうした癖性分だと思いますが」
警官はこうも言った。
「アマード様の。何かありましたが」
「小学一年の時に相撲の稽古の時でした」
アマードは何があったのか話した、それは彼にとっては決して忘れることの出来ない実に嫌な恐ろしい思い出だった。
「僕がされていないですが」
「ご覧になられたんですね」
「他の学校の子が動きが鈍いとです」
「それで、ですか」
「教えていた先生に平手打ちを受け」
そうしてというのだ。
「蹴られていました」
「それは立派な体罰です」
署長は許せないといった顔になって応じた。
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