長、来たる
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
御陵 陣が誕生した晩……御陵一族の館ではいつに無く賑やかな様子である。
それもそのはず、御陵 陣は御陵一族 当主・御陵 哲心の長男…つまり次期御陵一族の当主となられる資格を持った人物の誕生である。しかも代々御陵一族預かりとなっている、次期新選組筆頭となるなら尚更である。
現在、館の大広間にて一族及び新選組幹部が一同に会し豪華な食事とお酒が振舞わられており、また敷地内にある新選組屯所や孤児院でも今日という日を皆で祝っている。
「いやー目出度いですな。若様が生まれ一族は安泰ですなー」
「若様誕生、誠に目出度い。くぅー酒が美味いなぁ。」
「お前は何時も酒を美味そうに呑んでるだろうが…しかし、目出度いのは事実だ。」
皆が皆祝いの言葉を述べながら、酒や箸を進めている。
「しかも、多大な魔力を秘めておる。あれ程の魔力見た事が無いのう。」
この言葉を聞いた周囲の人間たちも、同意する様に頷いている。
「確かにあの魔力は凄い、剣士だけで無く術者としても一流になれる素質を持っている様だ。ますます今後が楽しみだ。御当主も鼻高々であろうよ…」
皆が頷いた後ある一方を見つめる、見つめた先には当主である哲心と哲心に抱かれながらも笑い声を上げる陣と周囲に集まる人達の笑顔があった。
この時、哲心も信頼している一族の大ベテランにして相談役 御陵 弦一郎は喧騒の中、一人考え込んでいた。
(若様の誕生は嬉しいが魔力の量が多すぎる。まだ幼い若様に耐えれるかどうか…また関東が、近右衛門がどう動くか…。まぁ体の方は数年経てば慣れてくるだろうし、何より出産時の事がある問題は無かろう。……やはり問題は近右衛門だな。今は問題無かろうが、十年後,二十年後、一体どんな無理難題を言って我等の力を削ぐ気か…注意が必要だな。
…木乃実様が何処まで近右衛門を抑えられるか…他の幹部連中は近右衛門の事になると抑制が効かなくなるからな、藤堂を始めとした関東の術師や周辺の土着部族は事ある事に麻帆良に対して敵対行為を行う者も多い、今は抑えられても今後がどうなるか……)
近右衛門とは、元関西呪術協会の長で現在・関東魔法協会の長,兼・麻帆良学園都市の学園長を勤めている近衛近右衛門である。近右衛門は、元々術師の名門・近衛家の人間で術師としての能力は勿論,その権謀術数は対関東魔法協会に対して期待され関西呪術協会の長にまでなっていたが早くに出奔。次期長としてまだ若く自身の娘である近衛木乃実を就任させ、自分は魔法使いに鞍替えし気付いた頃には関東魔法協会の長にまでなっていた。
本来であれば、出奔した人間の娘を長にするには抵抗が大きかった。しかし近衛の血,木乃実の実力・政治手腕,何よりもカリスマ性があった、また関西呪術協会で大きな力を持っている御陵哲心が後ろ盾とな
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ