長、来たる
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「おまえ、酔ったのか?」
「まさか、私は酒を飲んだのではありませんか。重い空気を飲んだのです。どうですか?空気が変わったんじゃないですか?」
ふと弦一郎は周りの重たい空気がスッカリなくなっていた事を感じ取り妻の機転が嬉しくなった。
弦一郎も酒を飲み干し、二人はお互いにお酒を注ぎ飲み交わした。
その後しばらくの間二人で飲んでいると、二人の後ろから近づいてくる足音が聞こえた。
「おぉ二人ともそこにおったのか、何処に行ったのかと思ったぞ。」
その声に振り向くと、子供の頃から面倒を見てきており当主となってからも支え続け、今日父親となった当主・哲心が近づき二人の横に腰掛けた。
「当主様、若様は如何しましたか。」
先程まで締まりのない顔で抱いていた赤子がいない事に気がつき、何かあったのか聞き出そうとした。
「何も無い、疲れたであろうし遅くなったからな…ずいぶん前にはるの所に戻して寝かしつけてもらっている。まぁ、イツ花もおるから大丈夫だろ。」
この言葉で二人はようやく、自分たちが長い間話し込んでいた事を知った。
「もうその様な時間でしたか…申し訳ありません。本来なら私が預かるところでしたのに…。」
美幸は、はるも,イツ花も出産の事で大分緊張していた為に、自分がサポートに回らなければいけなかったと考えていたが、実施出来なかった事に反省し苦悶の表情を浮かべていた。
「何気にするな。イツ花だけではなく女中の者たちが、ようやってくれていた。美幸がおらんでも充分に役目を勤められている。それ程心配はいらない。もっともウチの息子は、人見知りせず誰に抱かれても泣はし無かったわ。ありゃぁ、大物になるぞ!なんせ、初代様の名前をもらったからなぁ。」
まだ目も開いていない状態で人見知りも何も無いだろうと、二人は産まれてから間もないのに親馬鹿の当主に苦笑いした。
「お前らにも苦労をかけるな、息子の事,関西の事,関東の事,そして近右衛門の事,悩みの種が多いな。……ふぅ。」
溜息をつく哲心に自分達の思考が読まれたのかと慌てて二人は哲心に反論する。
「何を言います。若様の魔力の高さは我が一族の中でも屈し、今後の成長によっては中興の祖と成り得るでしょう。」
「その通りです。関西・関東については木乃実様を中心に幹部連が結束すれば関東なぞ恐るるに足りません。まして近右衛門なぞ謀略しか考えられない腸の腐った様な男です、充分に対応できるでしょう。」
二人の慌てた状態が面白かったのか、哲心は笑いながら答える。
「ははっ、分かっているとも、考えた所でどうしようもないとな…。とにかく来週には幹部会がある、その折に一度話しをしておこう。
しかし息子の魔力の高さには驚いたが…なるべく早くに修行を開始する必要があるな…よしっ七歳
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