長、来たる
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っていたが故に幹部連はまだ若い木乃実の長就任を認めたのだ。また木乃実が近右衛門や関東魔法協会を嫌悪していた為に支持するものも多くいた。
関西呪術協会と関東魔法協会との溝は近右衛門の鞍替えにより更に深まったと言える。
また近右衛門による関西呪術協会への謀略は今でも定期的に行われており、またそれにより関西呪術協会の過激派と呼ばれる人達による麻帆良襲撃と言った事が交互に起きるなど抗争が後をたたない。
賑やかな中、一人で考え込んでいる弦一郎を見掛けて美幸は声を掛ける。
「あなた、如何したのです?今宵は目出度い日なのですから、その様な仏頂面やめて下さい。あなたがそんな顔していたら周りが飲みにくいでしょう。縁側で頭を冷やして下さい。」
妻の遠慮ない言葉に苦笑するも、周囲の苦笑いを見て周りを気遣った妻の言葉に気付き、周囲に心配をかけぬ様に縁側に酒を持って移動する。
「ふー、相談役のワシが周りに気遣われては、まだまだだなぁ〜。」
自嘲しながら酒を飲んでいると美幸が盃を持って隣に座った。
「あなた、先程はもしや…ぬらりひょんの事を考えていたのではありませんか?」
美幸が自分の思考を見抜いていた事に驚くと共に、流石我が妻と弦一郎は顔を綻ばせた。
「ああ、若様に対して近右衛門がどんな謀略を張り巡らすかを考えていた。若様の魔力は群を抜いておる故にな……現在魔法世界は、亜人の皇帝が統べるヘラス帝国と関東魔法協会の母体であるMMとの間で冷戦状態との事だが、いずれは本格的な戦争になるやもしれん。
まぁ、五年後,十年後の事ではあろうがな…。流石に齢、十の子供に戦争に出ろとは言わぬであろうが、心配でな…。」
妻の前故か…胸の中に有った心配事を妻に不安をあらわにしながら語った。
あの時聞き出したらせっかくの目出度い空気が重たくなると思ったのだ、そして予想通り二人の空気は重たくなっていた。
御陵一族の相談役であるが故に、関西の事,関東の事,魔法世界の事,多くの情報を見聞きした為に考える事も多く、苦悩をしていた。
美幸はそれが分かっている為に、離れた場所で弦一郎の話しを聞こうと縁側に誘導したのである。
「あなたの心配事は分かりました。確かに近右衛門の事です。何かしら関西や一族に対して要求や謀略をするでしょうが…しかし、今何が出来ると言うのですか?
心配は杞憂とは言いませんが、今私達に出来る事は若様の誕生を祝いこうして酒を酌み交わす事では有りませんか?」
そう言いながら美幸は弦一郎の空になった盃に酒を注いでいった。
「おぉ、すまない。…んんっ…ああ美味いな。……確かに今心配してもしょうがないな。よしっお前も飲め。」
弦一郎は美幸の盃に酒を注ぐろ美幸は一気に飲み干したが、その顔は赤くなっていた。
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