第十幕その七
[8]前話 [2]次話
「いつも」
「そうなんだね」
「平和でありたいなら」
「お互いを知ることだよ」
「そのことはです」
ヘレンさんはかかしに言いました。
「外の世界にいた時からです」
「ヘレンさんの考えだね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「今もです」
「オズの国の中でだね」
「色々な国の人達とお会いして」
「文化に触れているね」
「そうしています」
「いいことだね」
「私は確かに目が見えず耳も聞こえず」
そうであってというのです。
「話すことも出来ませんでした」
「そうだった、けれど」
「そのことがです」
かかしに確かな声で言いました。
「私に他の人達に対して考えることと」
「思いやり、優しさだね」
「そう言われるものになるでしょうか」
「そうだね」
かかしはその通りだと答えました。
「貴女はそうしたものを備えたね」
「そうであればです」
「嬉しいね」
「はい、このうえなく」
かかしに微笑んで答えました。
「そう思います」
「僕もだよ、貴女は外の世界での困難からね」
「多くのものを得ましたね」
「そうなったよ、例え五体満足でもね」
そうであってもというのです。
「勿論そうでなくてもね」
「心が備わっていないならですね」
「その人は駄目だよ」
「そうですね」
「しかしね」
それでもとです、かかしはさらに言いました。
「貴女は備えたからね」
「いいのですね」
「この上なくね、だからアメリカ以外の人や文化を理解して」
「触れることが大好きです」
「今もだね」
「そして人種の違いもです」
それもというのだ。
「私はないとです」
「ずっと考えていたね」
「肌の色が違うと言われても」
それでもというのです。
「私は見えず聞こえずだったので」
「関係なかったね」
「そうでした」
まさにというのです。
「全く」
「そうだよ、しかも見えても聞こえてもね」
「それでもですね」
「人種の違いなんてね」
「何もないですね」
「人の能力なんて全く変わらないよ」
かかしはきっぱりと言いました。
「その人の努力次第でね」
「何ともなりますね」
「貴女とサリバン先生がそうじゃないか」
かかしは手振りを交えて言いました。
「苦難があっても乗り越えた」
「努力で、ですか」
「そのこと自体がね」
まさにというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ