第三十九話 首里城にてその五
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「海だと特にだよ」
「人間の姿になるといいですか」
「そうだよ、皆ね」
「そういえば」
晦はここで有明の方それにインサーンを見た、そうして蛾眉に対してかなり神妙な調子で話をした。
「奥方様もインサーン殿も人間のお姿になられると」
「ああ、お奇麗だな」
「そちらのお姿でもな」
「それもかなりな」
「そうであるな」
「いつも声をかけられてるな」
「私は十七歳ですから」
そのインサーンの言葉である。
「ですから」
「いや、それは置いておいてです」
晦は右手でおいおいとしつつインサーンに応えた。
「お奇麗です」
「そうですか」
「この前人間の姿になられ」
そうしてというのだ。
「よく声をかけられましたな」
「人間達から」
「それで上手にかわされていましたな」
「いつもそうなるので」
だからだというのだ。
「慣れていまして」
「かわせますな」
「はい」
そうだというのだ。
「私も」
「左様ですか」
「わらわもじゃ、悪い気はせぬが」
有明の方も言ってきた。
「しきりに声をかけられるのはちと難儀じゃ」
「あたいもなのよね」
「僕もですよ」
マーダッコだけでなくクレオンも言ってきた。
「この前人間の女に化けたんですが」
「ああ、奇麗だったじゃない」
「実は得意でして」
人間の女性に変身することがというのだ。
「それで化けますと」
「声かけられたわね」
「かなり。僕男なんですがね」
「うん、僕もそうしたらもてたよ」
プリシャスも言ってきた。
「不思議とね」
「あたいもね、どうも人間の美意識に合ったらしくて」
それでというのだ。
「もてたわ」
「そうでしたか」
「全部かわしたけれどね」
「かわすのはいいって言ったら」
クレオンはそうすればと話した。
「それで足早に去りましたら」
「避けられるわね」
「下手に怒るよりも」
「そうそう、そうしたらね」
「あっさりとかわせるから」
だからだというのだ。
「いいのよ」
「攻撃することはないですね」
「そんなので攻撃したら馬鹿よ」
「全くですね」
「それで人間達と一緒にいてもね」
「楽しいですし」
「そんなことしないわよ、しかしあたいが人間になって」
そうしてというのだ。
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