第33話:真実との遭遇
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、自らの誇りを賭けて、全身全霊で戦う者ばかりだったぞ。お前がその場しのぎで送り込んだ屍を弄ぶ暗殺者だけは違ったがな」
「……は?」
「配下の者が必至で戦っている間、貴様はその力を隠し、人の化けて勇者セインに近づき、誘惑の魔眼を与えて堕落させた―――」
「はいストップ。セインに誘惑の魔眼を与えたのは私じゃない」
「この期に及んで何を言っている?」
「知っての通り魔王である私にとって一番の脅威は勇者よ。とてもじゃないけど、魔王戦に特化した勇者のジョブは放置できるものじゃないわ。でも排除してもまた100年後には現れるじゃない。すごく面倒、いちいち相手してられないわ。そこで私は、じゃあ仲間にして近くに置いておけば良いじゃないって考えたの」
「だから、セインに誘惑の魔眼を与えて堕落させたのであろう?」
「逆よ。まず私は占術師のレアジョブを持つ配下に、勇者がどこに現れるか未来予測して貰ったわ。それから、あどけない子供のフリをして村に越したの。でも計算外だったのはセインに誘惑の魔眼が出た事ね。面倒なスキルに目覚めてくれて本当に困ったわ。おかげで排除するのに手間取ったわ。セインには私に信頼を寄せてもらわないといけないのに、どうでもいい2人に意識を割かれると困るのよ。信じられるのは私だけ、そう思ってもらわないと計画は失敗だもの」
その為にネイ殿とソアラ殿に失態を演じさせてセインの失望を買ったというのか?
貴様の配下が、命懸けで某と戦っている間に……
「つまり、『配下の者が必至で戦っている間、貴様はその力を隠し、人の化けて勇者セインに近づき』の部分は、事実なのだな?」
「そうよ。あの子も私が手配した配下だし」
聖職者らしき女性は指輪を外す。
次の瞬間、姿形が変わり痩せ型の引き締まった魔族の男となった。
「うぇ!?」
なぜかセインが狼狽している。
魔族の男はセインに恥ずかしそうな顔を向けた。
それから顔を赤らめて自身のお尻をさする。
……まさかと思うが、あの男と衆道……
やめよう!
今はそれどころではない!
「事情は解ったかしら?最初から貴女には1oも興味が無かったし、さらに言えば早く殺したいくらいだったの。見逃したのはせめてもの優しさね」
ようやく真実を捕まえた。
全ては目の前の毒婦から始まっていたのだ。
「ミリム、恐らくこの女のレベルは200近くよ。注意して戦いなさい。それと私は城に帰るから、適当に相手したら戻ってきなさい」
「はっ」
「逃げるか!?それだけの力がありながら!?」
「でないと、貴女、私ごとセインを殺すつもりでしょ?それだと困るのよ」
「だとしら……魔王リサ、既に敗れたり!」
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