第八十七部第四章 首相官邸にてその五十九
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「激怒したとある」
「盗聴を聴き」
「そしてですか」
「どうも突っ込みどころに困りますね」
「そうした話ですね」
「そして大統領にその話を話したが」
キング牧師が下品なジョークを言ったことをだ。
「しかしだ」
「大統領は取り合わなかった」
「そうだというのですね」
「当時の大統領は」
「プライベートな話でだ」
そしてというのだ。
「何故知ったかという話になる」
「盗聴ですね」
「それで知ったことは事実なので」
「大統領としてもですね」
「いいとしたのですね」
「そうだった、当時の大統領はジョンソンだった」
ケネディの次の大統領である。
「その彼がだ」
「いいとした」
「そうでしたね」
「そしてフーバーの言葉を退け」
「キング牧師に何もしませんでしたね」
「大統領としてはな」
そうだったというのだ。
「そうだった、そしてその下品なジョークもだ」
「盗聴ですね」
「それで聞かれましたね」
「プライベートの場で」
「そうだった、これが風俗店ならだ」
アッチャラーンはこうした話もした、尚彼は確かに謀略家であるがハニー=トラップは好まず殆ど使わない。
「案外だ」
「情報は聞けないそうですね」
「どうも」
「そう言われていますね」
「ハイドリヒが言っていた」
ナチスの高官である、この人物も稀代の謀略家であった。
「そうだったな」
「はい、あの冷酷で残忍で」
「好色で権力欲の強い」
「友情や忠誠心が存在しない」
「そう言われていましたね」
「そうした人物でだ」
このことは連合でも有名なことだ。
「そしてだ」
「そうしてでしたね」
「娼館を経営していて」
「そこに盗聴器を仕掛け」
「国の要人達が秘密を洩らせば」
「それを掴もうとしていましたね」
「そうしようとしていたが」
実際に盗聴器を仕掛けてだ。
「だがな」
「それでもだったそうですね」
「そうした情報は手に入らなかった」
「そうだった様ですね」
「ハイドリヒ自身が言っていた」
他ならぬ彼自身が言っていたのだ。
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