暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第230話:獅子の目覚め
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った声でそう呟き、顔を上げたキャロル。その表情は、先程までの儚く弱々しいものではなく、以前の彼女が見せた不敵で力強いものであった。
今し方の言葉とその表情で、メデューサはキャロルが記憶を取り戻した事を悟った。マズイと思い魔力を解き放とうとするが、それより早くにキャロルが放った錬金術がメデューサを吹き飛ばす方が先だった。
「フッ!」
「ぐあぁぁっ!?」
メデューサが吹き飛ばされた先には追い付いてきたメイジ達も居る。メイジ達は吹き飛ばされてきたメデューサを受け止めようとして一緒に吹き飛ばされ、その間にキャロルはハンスを抱えながら立ち上がり手を横に翳すとそこから堅琴を取り出した。
それは以前彼女が使用した、ダウルダブラのファウストローブ。全てを思い出したキャロルがそれを慣れた動きでかき鳴らすと、彼女の体が成人女性のそれに変化しその体を錬金術の鎧が包み込む。
再びファウストローブを纏い立ち上がったキャロルの姿を見たガリィは、磔にされながらも歓喜の笑みを浮かべていた。
「マスター……お帰りなさい……!」
その言葉を最後に、ガリィは力尽きた様に項垂れ動かなくなった。一方のキャロルはと言うと、混乱から立ち直りつつあるメデューサ達を一瞥すると未だ腕の中で眠り続けるハンスを優しい眼差しで見つめながら抱き寄せた。
「ハンス……俺の眠り王子……お前が俺を守る為に託してくれた全てを今、お前に返そう」
そう言うとキャロルは物言わぬハンスの唇に自らの唇を重ねた。するとキャロルから金色のオーラの様な物がハンスの中へと入り込む。
それは嘗ての戦いで、ハンスがキャロルに託した彼自身の魔力の全て。アーキタイプと称されるビーストドライバーを長年使い続けることで彼の中に生まれた、彼自身の魔力からなるファントムの力。
今までずっとキャロルの中で彼女を守り続けてきた門番の獣が、本来の主の元へと戻っていったのだ。
「ッ!!」
ハンスの目がカッと見開かれ、次の瞬間噴き出した魔力が周囲の瓦礫を吹き飛ばす。そして、ファウストローブを纏い成長したキャロル同様成人した姿になったハンスは、愛しい存在に対し騎士の様に恭しく跪いた。
「おはよう……キャロル」
「おはよう……ハンス」
待ちに待った瞬間に、キャロルは胸中に歓喜が渦巻く中錬金術で空間を繋げるとある物を取り出した。
それはビーストドライバー。あの戦いの後、アリスにより回収され今の今まで保管されていた。ハンスはそれをキャロルから受け取ると、立ち上がり腰に装着して変身する。
「さぁ……狩りの時間だッ!」
〈セット!〉
「変身ッ!」
〈オープン!〉
〈L・I・O・N、ライオーン!〉
獅子の咆哮と共に、ハンスの姿が鎧に包まれる
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