第十幕その三
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「全くね」
「いえいえ、とんでもない」
「ヘレン=ケラーさんですよ」
「あれだけの苦労を乗り越えられた」
「それで頑張って来られた」
「素晴らしい人です」
「私だけでは何も出来なかったわ」
そうだというのです。
「本当にね」
「あっ、サリバン先生ですね」
「この方もおられて」
「それで、ですね」
「あれだけの苦難を乗り越えることが出来ましたね」
「そうでしたね」
「そうなのよ」
まさにというのです。
「私はね」
「そうでしたね」
「サリバン先生もおられて」
「それで、ですね」
「ヘレンさんは頑張れましたね」
「ずっと」
「私はヘレンに教えただけよ」
今度はサリバン先生が言ってきました、この人もとても優しい笑顔で言います。
「ただね」
「そうですか」
「大したことはないですか」
「そうなんですか」
「サリバン先生にとっても」
「そうなんですね」
「そうよ」
まさにというのです。
「何もね」
「こうしたことを言えることがね」
かかしはしみじみとして言いました。
「この人達の素晴らしいところだよ」
「全くだね」
樵はかかしの言葉に頷きました。
「あれだけの苦難を乗り越えたのに」
「それでこう言えるんだからね」
「だからね」
それでというのです。
「僕達から見ても」
「どれだけ素晴らしい人達か」
「オズの国の宝だよ」
「よく来てくれたよ」
「私は宝かしら」
ヘレンさんはそう言われて首を傾げさせました。
「果たして」
「私もかしら」
サリバン先生も首を傾げさせます。
「何処が偉いのかしら」
「そうよね」
「全く何もない」
「そうだと思うけれど」
「私達より大変だった人達は多いわ」
「それこそ幾らでもね」
「とんでもないです」
ナターシャが強い声で言いました。
「ヘレンさんは目が見えなくて目が聞こえなくてお話することが出来なかったですね」
「そうだったわ」
「そんな三十九を乗り越えたんですよ」
こう言うのでした。
「サリバン先生と一緒に」
「だからだというのね」
「はい」
見れば恵梨香達四人もナターシャの言葉に頷いています。
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