第3部
サマンオサ
ルークの決意
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」
「……」
ユウリは考え込んでいたが、結局シーラの言うとおり、先にスーの里に向かうことに決めた。
ルークの件以降、嫌々ながらも私たちの意見に同意することが多くなっているユウリに、私は違和感を覚えつつも、皆との距離感が縮まっているのではと期待するようになった。
「そういや、ルークの奴はまだ来ないのか?」
そう、あれからルークは旅に出る準備をするために、一度家に戻ったのだ。宿で待ち合わせすると約束していたが、この時間になっても彼はやってこない。
「うーん、もうそろそろ来るんじゃない?」
私の説得力のない言葉に、ナギは部屋の窓に視線を移す。するとちょうど窓の外に、急いで駆けてくるルークの姿を捉えた。
「お、来たぜ!」
ナギはベッドに置いてあった荷物を手に取ると、すぐに部屋を出た。私も彼の後を追うと、ロビーで受付の人と話しているルークを見つけた。
「ルーク、こっち!!」
「お待たせ!! ごめん、遅くなって」
「何かあったと思って心配したよ」
すると私の後ろから、ひょっこりとシーラが顔を出した。
「ひょっとしてるーたんが旅に出るって知った町の女の子から、別れ際に告白されたとか?」
「なっ、何で知ってるの!?」
どうやら図星らしく、慌てふためくルーク。
「いやあ、冗談で言ったつもりだったんだけど、本当だったんだ〜」
「っ!!」
してやられたと言う顔で、今度は顔を真っ赤にしている。
「なあんだ、やっぱりルークが好きな女の子、いるんじゃない。で、どう返事したの?」
私が半ば呆れたようにそう言うと、ルークは慌てる素振りを見せた。
「もちろん断ったに決まってるだろ、全然面識なかったんだから。そもそも僕には……」
「お前の恋愛事情など心底どうでもいい。いいからさっさとこの町を出るぞ」
話の腰を思い切りへし折ったユウリが、毎度のごとく一人先へと歩き出す。
「あっ、ちょっと待ってよ!!」
私も慌てて後を追う。こんなやり取りなど全く知らないルークは、頭に疑問符を浮かべながら私たちの行動をただ眺めている。
何はともあれ、これから私たちは、ルークも加わって五人で旅をすることになった。
賑やかになる反面、魔王軍の四天王という今までの魔物より強い魔物と戦うことも考えなければならない。その脅威に立ち向かうため、私たちの旅はさらに過酷を増していくのであった。
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