第3部
サマンオサ
ルークの決意
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られたとか罵ってたかもしれない。でも、あのときボストロールと対峙して、考え方が変わったよ。父さんもあんな風に、魔物と戦ってたんだなって。父さんのような存在がいるから、僕たちが生きている世界は平和に暮らせてるんだなって、そう思えるようになったんだ」
「……」
「だから、もしもう一度父さんに会えるなら、『ありがとう』ってお礼を言いたい」
「……えらいね、るーたんは」
納得したように、シーラは答えた。そして、今度はユウリに顔を向ける。
「ユウリちゃん。意地を張るのもいいけど、ほどほどにしないと大切なものを見落としちゃうよ。今のユウリちゃんに必要なのは、冷静さだと思うから」
そう諭すように言うと、ちらりと私の方に視線を動かす。なんとなくそれがサインだと感じた私は、ユウリに訴えるように言った。
「ユウリ。私もルークに武器の使い方を教わりたい。強くなって、ユウリの背中を預けられる位の仲間になりたいの。だからお願い、ルークも一緒に連れてって!」
私の必死な訴えに、ユウリは眉ひとつ動かさずこちらをじっと見つめている。その整いすぎた顔立ちに気圧されながらも、私は彼の返事を待った。
「……わかった」
『!!』
「お前らがそんなにそいつの肩を持つのなら、もう何も言わない。勝手についてくればいい」
やったあ!! ……なのかな? なんだかふてくされて自棄になってるような気がしなくもないけど。
とにかく、これでルークも一緒に旅をすることになったんだ!
私はルークと視線が合うと、ほっとした様子を見せる彼と共に、喜びを噛みしめた。
「こちらが『祠の牢獄』にまつわる資料となっております」
その日の夕方、私たちが泊まっている宿の部屋にお城からの使者がやってきた。使者は私たちを見るなり懐から書状を取り出すと、早々に去っていった。きっとお城に戻ってからも仕事が山のようにあるのだろう。
ユウリは早速その書状を広げた。そこに書かれていたのは、祠の牢獄のある場所を簡潔に示した地図と、当時サイモンさんが捕まったときの大まかな記録だった。
「祠から一番近いのはロマリアか。だが、船で移動するとなると相当遠回りになるな」
祠の牢獄は、ロマリア大陸の東にある内海にポツンと浮かんだ島にあるようだ。私が住んでいたカザーブからそれほど離れていない場所に何年もサイモンさんが投獄されていたのだと思うと、複雑な心境だった。
「とりあえず先にスーの里に行ってエドに杖を返してから、祠の牢獄に行ってみようよ」
そう提案したのはシーラだった。ユウリは腑に落ちない顔で彼女を見返す。
「別に杖を返すくらい、後だっていいだろ。まずはガイアの剣を手に入れるのが先だろうが」
「でもさ、エドさんも人間に戻りたがってるんでしょ? だったら早めに渡した方がいいんじゃない?
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