第3部
サマンオサ
ルークの決意
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腰かけているユウリが、何やら一人でぶつぶつ呟きながら虚空を見つめている。
「あちゃあ、大分機嫌悪いよ、ルーク」
「こりゃあ持久戦も無理かもな」
「あの状態でわかるの!?」
私とナギが半ば絶望の目で今のユウリの状況を分析している傍ら、ルークが驚愕しながら叫んだ。
私はなるべくユウリの機嫌を損ねないよう、恐る恐る話しかけた。
「あ、あの、ユウリ……」
「!?」
私の気配と声に気づくや否や、殺気立った顔で思いきりこちらを睨み付けるユウリ。ダメだ、むしろ罵倒されるだけでまともな会話すら成り立たないのでは、とさえ思ってしまう。
「なんだ、間抜け女か。間抜けな顔をしてどうしたんだ?」
初っぱなから見事な正拳突きをかましてくるユウリの毒舌に、私は早くもたじろぐ。
けれど先にユウリが私の隣にいるルークに視線を上げると、今まで見たことがないくらい深い皺を眉間に刻んだ。
「……何の用だ?」
最大限の不快感を露にしているユウリに臆することなく、ルークは一歩前に出た。
「ユウリ。パーティーのリーダーである君に、頼みたいことがある」
「もし俺たちの旅について行きたいと言うのなら、却下だ」
『!!』
予想の斜め上の反応に、私たち三人は声を失う。
「な、なんでわかったの!?」
「本当にそうなのか?」
私が尋ねると、ユウリは意外な反応をした。どうやらわかってて言ったわけではないらしい。一同が唖然とする中、ユウリとルークは相手の反応を窺い合う。
「……どうして拒否されるのか理由が知りたいな」
やがて痺れを切らしたのか、先に口を開いたのはルークだった。
「足手まといはいらん。それだけだ」
にべもなく言い放つユウリに、ルークは表情を失いつつも言葉を続ける。
「確かに戦闘能力は君らより劣るかもしれない。だけどそれ以外で役に立つかもしれないよ?」
「俺たちの目的は魔王を倒すことだ。戦闘で役に立たない奴はどんな理由があろうといらん」
考えを曲げないユウリに、負けじと睨み返すルーク。心なしか二人の間に火花が散っているような気がした。
「だからそれ以外だって言ってるだろ。例えば僕はミオと同じ師匠の元で修行をして来た。彼女の戦い方は僕と似ている。けど、武闘家として戦う彼女には唯一欠点がある」
「欠点?」
聞き返すユウリに、どきりとした私も見返す。一体何を話すのだろうと静観していると、ルークと目があった。
「ミオ。あのとき二人でラーの鏡を探してたとき、僕に武器の使い方を教わったよね」
「……あ、うん!」
「あのときは時間がなくて最低限のことしか教えられなかったけど、本来君は素手よりも武器で戦う方が性にあっていると思ったんだ」
「え!?」
でも確かに師匠の武器で戦っていたとき、ルークに教えられた通りに身体を動かしたら
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