第三章
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ビジネススーツに革靴といった格好で髪形もサラリーマン風にセットした、そうして上司の天使にこの日のことを報告したが。
同僚にだ、報告の後で言った。
「今からこちらの仕事をしますが」
「何かありますか」
「いえ、天界にいますと」
サラリーマンと言うよりは役人の感じで言うのだった。
「どうしても畏まりますね」
「天界は神がおられるので」
同僚は真面目な顔で答えた。
「どうしてもです」
「礼儀正しくなりますね」
「あらゆる事柄が」
「そうですね、私もです」
ユウキエル自身もというのだ。
「人界では砕けていますが」
「ヘルスエンジェルスの様に」
「天界ではです」
謹厳な顔で言うのだった。
「この通りです」
「真面目ですね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうなっています、自然と」
「神がおられるので」
「神は謹厳を絶対とされるので」
「禁欲、実直、真面目がお好きで」
「ですから。何か天界に戻ると」
同僚に苦笑いしてこうも言った。
「別人になった様な」
「そんな気持ちになりますね、私はサンパウロのサッカー場の辺りが管轄ですが」
「こうではないですね」
「いつもエキサイトしていますよ」
ユウキエルに笑って話した。
「本当に」
「左様ですね」
「はい、ですが天界では」
「真面目一辺倒ですね」
「そうです」
「お互いそうですね」
官公庁のオフィスの様な場所で隣同士になって書類仕事をしつつ話した、そしてまた人界で仕事をするが。
その日も居酒屋で食事を摂ってだ、川上に言うのだった。
「こっちの方が暮らしやすいか」
「天界よりもですか」
「天国からこっちに来てるけれどな」
それでもというのだ。
「こっちは何かとあっても自由だからな」
それでというのだ。
「ラフにやれるからな」
「むしろ天国はですか」
「こっちか?天界は堅苦しいんだよ」
川上に日本酒を飲んでイクラの巻き寿司を食べつつ話した。
「真面目過ぎる世界でな」
「そうしたところにいますと」
「堅苦しくてな」
それでというのだ。
「こうしたな」
「砕けた世界がいいですか」
「ああ」
そうだというのだ。
「それで時々思うんだよ、天国から来てる筈なのにな」
「こちらの方がですか」
「天国かもってな。少なくともこうした恰好や口調でな」
今の様なラフなというのだ。
「日本酒や寿司なんてな」
「口に出来ないですね」
「イギリスの修道院みたいなな」
こう例えるのだった。
「味も何もない質素なんてものじゃない」
「そうしたものしかないですか」
「そうだしな、本当に時々でもな」
「実はこちらが天国ですか」
「そう思う時もな」
「ありますか」
「時々な」
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