第二章
[8]前話
「だからな」
「頭に残ってるのね」
「そうだよ、それでな」
つまみの干し肉を齧りつつ言った。
「今の政府はそうしないだろ」
「ウォッカをね」
「有り難いことだよ」
笑って言うのだった。
「このことはな」
「そう言えるわね」
「今大変だけれどな」
「ロシアはね」
「けれどな」
何故大変かは言わず話を続けた。
「ウォッカが飲めるならな」
「大丈夫ね」
「ソ連だって色々あってもな」
「ウォッカについて言わなかったら」
「ずっと続いていただろ」
「何があってもね」
「だからロシアだとな」
自分達の国ではというのだ。
「本当にな」
「ウォッカが飲めたらいいのね」
「俺だってな」
彼自身もというのだ。
「そうだしな」
「それでなのね」
「ああ」
今も飲みつつ話した。
「だから禁止されたらな」
「今の政府になのね」
「ここだけの話だぞ」
妻に笑って話した。
「今も何だかんだでな」
「色々あるからね」
「流石にソ連の頃よりずっとましだけれどな」
政府を批判して死刑等にはならないというのだ。
「それでもな」
「外では中々言えないわね」
「そこは注意しないとな」
「ロシアだとね」
「だからここだけの話だが」
家の中だけだというのだ。
「ウォッカ飲むなって言われたらな」
「支持しないわね」
「ああ、そうなるとな」
「他のことは我慢出来ても」
「国全体が監獄みたいになってもものがなくてもな」
そうした状況でもというのだ。
「ウォッカが飲めたらな」
「いいわね」
「家の中でな、仕事とパンがあって」
そうしてというのだ。
「そうだったらな」
「ロシア人はいいから」
「ウォッカさえだよ」
「飲むなって言わないといいのね」
「ああ、じゃあ晩飯食って風呂入ってな」
「寝てね」
「また明日だ」
ウォッカを飲んで赤らんだ顔で言った、そうしてだった。
夫は一家で夕食を食べた後はサウナに入りそれから妻と同じベッドに寝て高いびきを立てた、そうして次の日も飲んで楽しんだのだった。政府は今のところは彼等にとって困難な状況でも揺らいでいなかった。
ロシアのジンクス 完
2024・9・14
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