第二章
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その女性、鬼頭朱里日本で急成長中の会社を経営している彼女は子爵と共に紅茶を飲みつつだった。
そのうえでビジネスの話をした、そちらの話は問題なく終わったが。
その後でだ、子爵は鬼頭を見送った後でグロウスに尋ねた。
「しかしよくわかったね」
「お客人が間もなく来られるとですね」
「そうだよ、君はあの時時計を見たね」
「はい」
グロウスはその通りだと答えた。
「そうしました」
「それだけでわかったんだ」
「そうです」
「それはまたどうして」
「お屋敷にはタクシーで来られましたが」
グロウスはこのことから話した。
「それは駅からです」
「駅からなんだ」
「お客人、鬼頭様は誠実な方ですね」
「真面目でね」
子爵はその通りだと答えた。
「尊敬に値するまでのね」
「時間も守られますね」
「そうした人だからね」
このことを知っているからだというのだ。
「本当にだよ」
「心配されていましたね」
「そうだったんだ」
子爵はグロウスに率直に話した。
「今回はね」
「そうした方が遅れるとなりますと」
それならというのだ。
「このお屋敷の最寄りの列車が遅れて」
「それでだね」
「そのせいだとです」
その様にというのだ。
「考えました」
「そうだったんだね」
「ですが遅れても」
列車がというのだ。
「相当な事故がない限りは長く遅れません」
「ダイヤルに支障が出る位ならだね」
「そうです、まして事故もです」
グロウスはメイド服、丈の長い黒のそれのスカートを見つつ言った。白いエプロンとカチューシャの対比が見事だ。
「ありましたら腰のポケットに入れているスマートフォンに通報が来ます」
「そうセットしているんだ」
「イングランドの何処かで大きな事故や災害があれば」
その時はというのだ。
「アラームが鳴る様にです」
「セットしているんだ」
「大規模な列車事故もです」
そうした事故もというのだ。
「すぐにです」
「わかる様になんだ」
「していますので」
だからだというのだ。
「それが鳴らなかったので」
「列車事故はなくて」
「おそらく遅れたのは」
「ダイヤルが遅れたんだね」
「それ位のことと思っていまして」
それでというのだ。
「まさにです」
「そうだったみたいだね」
「はい、ですから
「遅れても少しで」
「すぐにです」
その様にというのだ。
「来られるとです」
「君は考えたんだね」
「推理しました」
そうだったというのだ。
「私は」
「成程ね。時計を見てだね」
「考えました」
「推理だね、ちょっとした」
子爵はここまで聞いてグロウスに笑って言った。
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