第二章
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「そうするか」
「そうだな」
ポセイドンは確かにと述べた。
「あの者達は乱行が過ぎる」
「他の者達が迷惑している」
ハーデスも言った。
「だからな」
「何とかすべきだな」
「それにはだ」
ポセイドンはまたゼウスに応えた。
「我等それぞれの世界の主神達も強い仕置きを与えるか」
「そうするか」
ハーデスも言った、それぞれの世界を治める神々はマイナス達をどうすべきかと頭を悩ませていた、だがその話を聞いたゼウスの息子の一人で伝令に商売と盗みの神であり知恵者として知られるヘルメルは彼等の前に出て笑って言った。
「そんなの簡単ですよ」
「閃いたか」
「はい、手荒なことをせずともです」
ゼウスに明るい口調で答えた。
「やり方があります」
「ではどうするのだ」
「彼等の行く先に酒を並々と入れた甕を多く置くのです」
「酒か」
「葡萄酒を。それも水で割らずにです」
「そのままか」
「置くのです。そうすればです」
ヘルメスはさらに話した。
「彼女達はその酒を飲みます」
「それもしこたまだな」
「あれだけ乱れているなら」
それならというのだ。
「まさにです」
「飛びつくか」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「貪る様に飲みます、そうすれば」
「酔い潰れるな」
今度はポセイドンが言った。
「そうなるな」
「左様です、これでどうでしょうか」
「いいな」
ポセイドンはヘルメスの言葉に神妙な顔で頷いた。
「それは」
「全くだ、では早速酒を用意しよう」
ハーデスも言った。
「そうしよう」
「それでは」
「多くの大きな甕を多く出してな」
ハーデスはあらためて言った。
「そこに葡萄酒を割らずにそのまま満たして彼女達の前に置こう」
「その様に」
ヘルメスは最後まで明るかった、それは結末がわかっている顔であった。そして彼の言う通りに酒を入れた甕を置くとだった。
狂乱状態の女達は酒に飛び付き甕に顔を突っ込んで水を飲む様に飲みだした、そうするとそれでだった。
女達は酔い潰れた、ゼウス達はその様子を見て言った。
「元々ディオニュソスの信者達だしな」
「それに酒を飲み過ぎると自然に酔い潰れる」
「起きても二日酔いで満足に動けない」
「これはいいやり方だ」
「流石ヘルメスだ」
「知恵が回る」
「しかもです」
ヘルメスは楽し気に笑ってゼウスにもポセイドンにもハーデスにも話した。
「酒は兄上の治めるもの」
「そうだな」
「マイナス達はそのディオニュソスの信者だ」
「治めるもの信者達を抑える」
「これはいいことだ」
「まさにうってつけだ」
「こんないい組み合わせはない」
「それが出来たのですから」
だからだというのだ。
「好都合ですね」
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