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マンションジャングル
第二章

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「スーパーにコンビニに」
「郵便局もお役所の主張所もね」
「銀行もキャッシュコーナーもね」
「セキュリティの人達の事務所もね」
「お仕事の紹介所だってね」
 そうしたものもというのだ。
「あるし」
「ジムもプールもよ」
「スーパー銭湯だってね」
「屋上には空中庭園もあって」
「散歩も出来るね」
「ペットのいる人達の為の施設もあって」
「本当に何でもあるね」
「ここで暮らしていれば」 
 まさにとだ、妻は夫に話した。
「お仕事に行く以外はね」
「在宅ならそのままだね」
「この中で暮らせるわ」
「交番まであるしね」
「ええ、ただ色々な階に色々な場所があるから」 
 それでとだ、妻は夫に話した。
「ジャングルみたいね」
「ジャングル?そういえば」
 小説家の夫は編集者の妻の言葉に頷いた、実は妻は夫の専属の編集者で二人三脚で仕事をしているのだ。
「ここはね」
「ジャングルみたいね」
「複雑で何でもあってね」
「色々な場所や人があって」
「見れば確かに色々な人がいるね」 
 マンションの住人達はというのだ。
「そう考えたら」
「だからね」
 それでというのだ。
「ここはね」
「このマンションは?」
「うん、ジャングルだよ」
 こう言うのだった。
「それも周りのマンションもね」
「同じ造りで」
「そう、何でも色々あって」
 そうであってというのだ。
「雑多で何処かカオスでね」
「カオス、そうね」
 妻は編集者として作家の夫の言葉に頷いた。
「そう言っていいわね」
「何でも揃ってるけれどまとまりはないね」
「普通お店とかはマンションの一階に集中しているけれど」
「このマンションは百貨店みたいにね」
「色々なお店がそれぞれの階にあるわ」
「テナントに入る感じでね」
「レストランとかもね」
 そうした店もというのだ。
「普通に人が暮らしてる階があって」
「それでもそうした階と階の間に商業用の階があったりね」
「そうだしね」
「本当にね」 
 このマンションはというのだ。
「何でもあるけれど雑多でまとまりがなくて」
「カオスな」
「色々な人がいてね」 
 そうでもあってというのだ。
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