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ドラキュラの末裔
第二章

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「血のソースなら兎も角な」
「生ではですか」
「吸うというか飲まない」
「そうですか」
「あたると困る」
「人間の血もですか」
「加熱していない血は飲まない」
 そうだというのだ。
「決してな」
「生ものは飲まなくて」
「そうだ、それでだ」
 その為にというのだ。
「私も気を付けているのだ、もっと言えば血を飲まなくてもな」
「他にですか」
「こうしてだ」
 つまみの牛肉の串焼きを食べつつ話した。
「肉に野菜を食えばな」
「栄養と摂れますか」
「血は赤いが」
 それでもというのだ。
「トマトや苺が好きだ」
「そうですか」
「それで今度日本に旅行に行くが」
 日本人の荷田に言うのだった。
「私は独身だ」
「そうなんですね」
「だから日本ではな」
 この国ではというのだ。
「細君になれそうな人がいれば」
「探しますか」
「そうもしたい」
 こんなことを言うのだった、この時は荷田は伯爵とはそれで終わりでメールのアドレスを交換した。彼はまさか吸血鬼が実在するとは思わないので内心驚いてはいたが紳士で別に血を吸われなかったのでよしとした。
 そして夏休みで日本に帰って友人達と遊んだ後地元の大阪の街を歩いていると夜の道頓堀のかに道楽の巨大な看板の前でだった。
 何と伯爵とばったりと会った、しかも隣には妙齢の美女がいた。ブロンドに青い目に長身のモデルの様な外見だった。
 その彼女を見てだ、荷田は何か言おうとしたが伯爵から言ってきた。
「まずは久し振りと言わせてくれ」
「日本語ですね」
「実は日本の八条大学卒業だ」
「神戸にあるあそこですか」
「そうだ、それで日本に縁がありな」
「日本語も流暢なんですね」
「そうだ、それで今は婚約者と旅行中だ」
 こう言うのだった。
「積もる話は立っても何だしな」
「じゃあ喫茶店でも」
「いや、丁度いい」
 かに道楽の看板を見て返事をした。
「夕食はまだか」
「はい、実は」
「ではそうした時間だしな」
「丁度いいですか」
「ご家族に話をしてくれるか」
「夕食は外で食べると」
「そのうえで話そう」
 こうして拍車のペースで話が整ってだった。
 三人でかに道楽に入った、そして夏だが鍋を囲んで蟹料理を楽しみながら話をしたのだった。
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