第五章
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「さらにね」
「ファイナルも勝ち抜くとか」
「まさかのまさかよ」
「そうだったね」
「三位のチームがクライマックス勝ち抜くのも」
この展開もというのだ。
「実際はね」
「そうはないしね」
「ないことばかりで」
そうした展開でというのだ。
「もうね」
「ないことばかりで」
「本当にね」
実際にというのだ。
「何時終わるかって思ってたのが」
「遂にシリーズ進出して」
「いや、もうね」
千佳は冷めた声で述べた。
「今度こそよ」
「負けるって思ったね」
「貯金二のチームがよ」
シーズンが終わってというのだ。
「貯金四十二のチームに勝てるか」
「思わないよ」
寿も冷めた声で述べた。
「僕だってね」
「そうよね」
「明らかにね」
それこそというのだ。
「戦力が違い過ぎるから」
「交流戦でも負け越してたしね」
「そうだったしね」
「絶対に負けるって思ってたわね」
「解説者の人も殆ど言ってたしね」
「ソフトバンク勝つって」
「圧倒的に」
こう言っていいまでにというのだ。
「ソフトバンク有利だってね」
「殆どの人言ってたわね」
「ベイスターズは一勝か二勝で」
「ソフトバンク四勝ね」
「ベイスターズ出身の人だけが」
そこにはホエールズ時代も含まれている。
「勝つって言ってる位で」
「出身の人はそう言うわね」
「けれどね」
「圧倒的だったわね」
「ソフトバンク有利ってね」
「どう負けるってね」
「殆ど皆思ったよ、僕だってだよ」
寿自身もだった。
「もうこれはね」
「ソフトバンク日本一ね」
「確信していたよ」
「私もよ、けれど」
その予想がというのだ。
「まさかのまさかのまさかでね」
「連敗してから四連勝で」
「日本一になったわね」
「奇跡だったね」
「本物のね」
千佳は真顔で言い切った。
「それよ」
「そうだね」
「そう、本当にね」
まさにというのだ。
「奇跡だったわ」
「僕もそう思うよ、今年のペナントは」
「奇跡の展開だったわね」
「まさかのベイスターズ日本一だったよ」
「それで終わったわね」
「二十六年振りの」
「こんなこともあるのね、ただね」
千佳は真顔のままこうも言った。
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