第二章
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「それで二十六年なんてね」
「甘いか」
「ええ、けれどね」
千佳はテレビに映る牧選手を観つつこんなことも言った。
「そもそもベイスターズが日本一になるなんて」
「想像しなかったな」
「九月までね」
「そうだったな」
「四位だったから」
九月まではというのだ。
「それもまずね」
「三位までに入られないな」
「そんなゲーム差だったから」
そうだったからだというのだ。
「もうクライマックスは」
「阪神と広島でな」
「あと名前も出したくないけれどね」
「巨人だな」
「この三チームでと思ってたわ」
「僕もだよ」
寿も牧選手を観つつ応えた。
「本当にな」
「想像していなかったわね」
「ああ、しかしな」
それがというのだ。
「本当にまさかのまさかだったよ」
「カープがね」
千佳はとても嫌そうな顔になり苦々しい声で述べた。
「あんなにね」
「九月に入ってな」
「物凄い勢いで負けたから」
「あれ何なんだ」
寿もそれを問うた。
「一体」
「だから打線が打たなかったでしょ」
「今年のカープはな」
「打線が打たなくて」
そうしてというのだ。
「投手陣が頑張って」
「その投手陣が疲れてか」
「そうなってよ」
それでというのだ。
「あそこまでね」
「崩れたんだな」
「私も驚いたわ」
根っからの鯉女である彼女もというのだ。
「九月まで首位で」
「マジック見えていたな」
「それがよ」
その状況がというのだ。
「あっという間にね」
「崩れたよな」
「そうなってよ」
「首位どころかな」
「どんどん落ちて」
順位、それがというのだ。
「何でそうなるのっていう位ね」
「落ちてな」
「気付けばよ」
「四位だったな」
「もう記録的にね」
こう言っていいまでにというのだ。
「負けてね」
「そこまで落ちたな」
「優勝どころかよ」
マジック目前の状況からというのだ。
「そうなってね」
「その代わりにな」
「誰も想像していなかった」
そう言っていいまでにというのだ。
「ベイスターズ三位よ」
「つまりクライマックス進出だな」
「そうなってね」
それでというのだ。
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