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始皇帝の目
第三章
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「それもあるだろう」
「そうなんですね」
「そうかもな」 
 劉邦はこう言うだけだった、だがこの家臣は後日漢の軍師であり学識豊かなことで知られる張良にも始皇帝のことを話した、彼は実は始皇帝を暗殺しようとしてその姿を見たこともあるので彼のそのことも考えてだ。
「子房殿は学識豊かで」
「いえいえ、私はその様な」
 張良はまずは女性の様な整った外見で謙遜して応えた。
「とても」
「私はそう見ています、それに始皇帝を見たことがありますね」
「貴殿は以前漢王に始皇帝の目や髪の色を聞かれましたね」
「はい、それで子房殿にもお聞きしたいのですが」
「私も見ていませんが」
「そこまではですか」
「はい、ですが」 
 それでもというのだ。
「有り得ますね」
「始皇帝の目が青かったことは」
「髪の毛や髭が赤かったことも」
「ではやはり」
「そもそもです」 
 張良はさらに言った。
「あの人のお鼻は大きかったですね」
「蜂の様だと」
「私達の鼻とは違い」
「声は豺狼の様に低く」
「虎狼の心に鳩の様に突き出た胸とも言われていますが」
「目と髪の毛の色は」
「やはりこれはです」
 どうかというのだった。
「我々中原、中華の者の外見ではないです」
「やはり西の血を引いていますか」
「秦の王室の。そしてです」
「そして?」
「このことは大事なことかと」
「といいますと」
「始皇帝には一つの噂がありますね」
 張良は真剣な顔でその同僚に話した。
「彼は実は秦王の子ではなく」
「呂不韋殿の子だったと」
「噂がありますね」
「そのことも言われていますね」
 漢の家臣であり張良の同僚である彼も頷いた。
「確かに」
「そうですね、あの人の母君は最初呂不韋殿のお家にいて」
「舞を舞っていたので」
「側室の様なものでもあったので」
「実は、ですね」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「呂不韋殿は韓か衛の生まれです、そして母君も」
「あの辺りの生まれで」
「西の者の血が入っていたとはです」
「思えないですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「始皇帝は呂不韋殿の子ではないかと」
「そうなのですか」
「秦王の子であり」
 そうであってというのだ。
「秦の王室の血を引いている」
「そうした御仁ですか」
「そうだったとです」
 その様にというのだ。
「私は考えています」
「そうですか」
「その証かと」
「その目や髪の色は」
「そうです、ですが」
「ですが?」
「王も私もあの御仁を近くで見ていませんし」 
 張良は同僚にこうも話した。
「また呂不韋殿の噂は天下で広く言われています」
「誰もが知っていますね」
「始皇帝が秦王であった頃から」
 中華を
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