第九幕その十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「この事務所に来るまでも見せてもらったけれど」
「あらためてですね」
「ご覧になられたいですね」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「お願い出来るかしら」
「はい、それでは」
「案内させてもらいます」
「これからです」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
二人の返事を受けてでした。
ドロシーはにこりと笑って応えました、そうしてです。
使節団の一行はスクルージ達に国の中を案内してもらいました、するとでした。
「確かにロンドンだけれど」
「十九世紀中頃の」
「お空は曇ってないし」
「霧もないし」
「澄んだ感じがするね」
「ははは、外の世界のロンドンといえば」
スクルージはナターシャ達五人に笑って応えました、皆で一緒に街の中を歩いています。彼とマーレイが先頭にいます。
「霧だよね」
「お空は曇っていて」
「それで雨ですね」
「スモッグですね」
「あの頃は工場の煙も凄くて」
「そうだけれどね」
それがというのです。
「ここはオズの国だからね」
「それで、ですね」
「何かと違いますね」
「そうなんですね」
「霧も雨もないですね」
「煙も」
「だから澄んでいますね」
「いつも青空で温度も快適で」
そうであってというのです。
「快適なんだよ」
「十九世紀のロンドンの街並みでも」
「やっぱりオズの国なんですね」
「快適ですね」
「過ごしやすいですね」
「そうした街ですね」
「そうだよ、思えばロンドンは何でもあって便利だったけれど」
それでもというのです。
「雨と霧は常だったよ」
「しかも寒かったですね」
クラチットが言ってきました。
「そうでしたね」
「いつもね」
「セーラさんも言っておられますね」
「彼女もロンドンにいたからね」
「そうでしたからね」
「何でも揃っていて便利でも」
そうした街でもというのです。
「寒くてね」
「雨も霧も多いですね」
「煙だってね」
「そうでしたね」
「それこそね」
スクルージは笑って言いました。
「霧が出たら手を前に出して」
「自分の手首が見えなくなる位でしたね」
「そうだったよ」
「凄い霧でした」
「そして今思うとその霧がね」
それがというのです。
「とてもね」
「ロンドンでしたね」
「そうだったよ」
「今では懐かしいですね」
「今も霧は出るけれど」
それでもというのです。
「雨も降って」
「あの時みたいにいつもじゃないですね」
「それがね」
「また違いますね」
「そうだね」
スクルージは微笑んで答えました。
「この国の霧はね」
「いつもじゃないですね」
「晴れる時が多いよ、けれどね」
「晴があって雨も霧もある」
「そうだからね
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ