第九幕その七
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「ささやかな様で」
「素晴らしいことだね」
「楽しく落ち着ける」
「そしてお友達ともお話出来てね」
「笑顔になれます」
「そうしたものだね」
「そのティータイムもです」
ミルクティーを飲みつつ言うのでした。
「かつての私はです」
「見なかったね」
「見ようとしませんでした」
そうだったというのです。
「紅茶を飲んでも」
「それだけだったね」
「本当に喉を潤すだけで」
そうしたものでというのです。
「しかも節約ばかり考えて」
「薄いものだったね」
「クラチットに煎れさせても」
その時もというのです。
「出来る限り薄くする様に言って」
「濃いと怒ったんですよ」
そのクラチットも言います。
「無駄遣いだって」
「兎に角無駄遣いといいますか」
スクルージは言いました。
「無駄遣いがです」
「嫌いだったね」
「はい」
まさにというのです。
「そうでして」
「それでだね」
「兎角です」
「紅茶も薄くしてだね」
「飲んでいました、お菓子なぞは」
ティーセットのそれはというのです。
「本当に無駄とです」
「思っていて」
「食べませんでした、ティータイムは時間の無駄だと」
その様にというのです。
「思っていました」
「そして無駄だとだね」
「一切です」
それこそというのです。
「しませんでした」
「忌み嫌っていたね」
「笑うことすらです」
このことすらというのです。
「無駄だと思っていました」
「ただ働いてお金を稼ぐ」
「そのことだけでした」
まさにというのです。
「私は」
「味気なくてもだね」
「一切です」
それこそというのです。
「構わないとです」
「思っていたんだね」
「まさにです」
「そうとさえ思って」
「味気ない、温かさも優しさもない」
「そうした暮らしだったね」
「全くの間違いでした」
スクルージはきっぱりと言いました。
「そんな一生を送ってもです」
「いいことはないね」
「楽しさや喜びもです」
「なかったね」
「そうしたもの一切から背を向けて」
そうしてというのです。
「暮らしていても」
「意味はないね」
「はい」
かかしにきっぱりと答えました。
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