小鳥遊
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うなものだろう。
コウスケから道中聞いていたような貧乏学生のイメージとは、とても結び付かなかった。
そう考えていると、廊下から白いウサギが現れた。
「らいおんさん!」
小さいウサギかと思ったそれは、ウサギを模したパジャマを纏ったひなだった。彼女は真っ先にコウスケの膝元に掴み、「がおーっ! がおーっ!」と叫んでいる。
彼女に遅れてやってきた祐太が、頭をかきながら呟いた。
「折角ならライオンのが良かったけど、あいにく持ち合わせがこれしかなくてな」
「ウサギの恰好でライオンと遊ばせるのか……」
捕食されそうだな、とハルトが思っていると、コウスケも同じ結論に至ったのか、苦笑いを浮かべている。
だがひなはお構いなしに「がおーっ!」と咆哮を上げ続けている。
コウスケはソファーから降りて床でしゃがみ、ひなと手を合わせている。
「よし、折角だし、変身するか」
「止めなさい。加減間違えたらひなちゃんポッキリだぞ」
「ジョークだよ」
本気だったのではなかろうかと思いながら、ハルトは立ったままの祐太を見上げる。
「大きい家だね。ひなちゃんと二人暮らしなの?」
「いや、あともう二人の姪との四人暮らしだ」
「「へー」」
ハルトとコウスケが同じ反応を口にした。
だがすぐに、コウスケが彼の発言の意味を理解する。
「ちょっと待て。つまり、学生だけど、三人の子供たちを育てながら暮らしているってこと?」
「ああ。そうだよ」
なんてことなく答える祐太の返答に、コウスケの動きは止まった。いつのまにか四つん這いになっていた彼の背中には、小さなウサギが話など理解せずにコウスケの腹を蹴っていた。
「な、何でそんな大変なことに……」
「色々あってさ……姉さんが行方不明になったことは言ったっけ」
「ああ。それは聞いてるぜ」
身内が行方不明。
あまり穏やかではない発言に、ハルトは押し黙り、彼が続けるのを待つ。
「俺の姉さん、旦那さんと一緒に海外出張中に、飛行機事故で行方不明になってな。場所も秘境に近いから、ほとんど調査も進んでなくてな。この家は、その旦那さんのものなんだ」
「……! ご、ごめんね。そんな話……」
「平気だよ。もう、半年近くたっているから。それに、この生活も結構楽しいしね」
「そう……」
ハルトは何と言えば分からず、顔をそむけた。だがその瞬間、半年近くという言葉がハルトの頭の何かに繋がった。
「……ねえ、待って。瀬川さん、半年前っていつのこと?」
「いつ?」
「その……もしかして、年末ごろだったりしない?」
「!」
ハルトの確認に、コウスケの顔も強張った。
だが、それに気付かないまま、祐太は答えた。
「ああ。丁度クリスマ
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