小鳥遊
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フロストノヴァは目を細めた。
これだけ至近距離での会話だが、コウスケがハルトとフロストノヴァの会話から、祐太たちの気を引いてくれている。ひなの無事というだけで、祐太は他の何も目に入らない。保育園も、子供たちと親の無事を確かめるのに夢中で、少し離れたところにいる部外者のことなど目に入っていない。
ただ一人。
ハルトの背中で固唾を飲んでいる香子には、ある程度の説明は必要だろうか。
「お前にも、願いがある。だからこそ、この聖杯戦争に参加したのだろう?」
「……そうだよ」
ハルトの目が赤くなる。
全身から魔力を放出し、彼女の全身から溢れる冷気とぶつかる。
それは風となり、ハルトとフロストノヴァの前髪を揺らしていった。
「でも、俺はそんな願いなんてどうでもいい。今はただ、この街を乱したくないんだ」
「……そうか」
非難するでもなく、嘲笑うわけでもない。
ハルトの返答に、フロストノヴァはただただ目を閉じるだけだった。
やがて彼女は背を向ける。
彼女の鼻息は冷気を帯び、その場で反転する動きに白い軌跡が彩られた。
「フロストノヴァ!」
「私は戦いを降りない。マスターがそれを望む限りは」
「……マスターが、望む限り……」
ハルトはその言葉を自らの口に含ませる。
そして、今ハルトとコウスケが最も知りたい質問。そして、フロストノヴァが決して口を割らないであろう質問を口にした。
「アンタのマスターは……一体誰なんだ……?」
「言うと思うか?」
「……だろうと思った。でも……」
ハルトは拳を握る。
「アンタが戦いを続けるなら、俺は敵だ。でも、君が戦いを止めてくれるなら、俺は全力でその願いに協力するよ。俺は……君とは戦いたくない」
「……ふん」
フロストノヴァが鼻を鳴らす。
途端、吹雪が彼女を中心に吹き荒れた。比較的その影響は小さく、それはハルトと、傍らで見守る香子にしか影響はない。
吹雪は目くらましとしての役割を完遂し、晴れたころにはすでに氷のサーヴァントの姿はなかった。
「……さて」
ハルトとコウスケ以外の参加者が本当にいなくなったことを確認し、ハルトは香子に向き直る。
「えっと……話、聞いてたよね?」
「え、ええ」
ぎこちない動きで頷く香子。
「……聞かなかったことにはできない?」
「構わないけど……でも、さっきのあの赤? だったか黄色? のあれは何だったの? そっちはしっかり教えて欲しいわ」
「あれは……信じてもらえないかもしれないけど……俺、魔法使いなんだ」
「魔法使い?」
ハルトの返答に、香子は目を丸くした。
「魔法使いって、箒に乗って空を飛ぶあの魔法使い?」
「うーん、世間
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