第九十話 最後の戦その五
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「よくぞここまで来られました」
「貴女が天照大神ですね」
「はい」
女神は綾乃に微笑んで答えた。
「そして弟の月読命と素戔嗚命もです」
「おられますね」
「私達三神との戦が」
それがというのだ。
「この塔での貴方達の最後の戦となります」
「そうですね」
「ですから」
女神は綾乃にそれ故にと話した。
「宜しいですね」
「はい、この戦は何としても」
「勝って下さい」
こう言うのだった。
「この世界の為に」
「この世界を救えるだけの力を得る為に」
「そうされて下さい」
「わかりました」
綾乃は女神に確かな声で頷いて応えた。
「それでは」
「はい、ではです」
「戦ですね」
「はじめましょう」
「ほなお願いします」
「まずはわしだ」
若々しい弥生時代の日本の男の服を着た神霊が言ってきた。
「この素戔嗚命が相手をしよう」
「宜しくお願いします」
「ははは、随分と謙虚だな」
綾乃の礼儀正しさを見て述べた。
「謙虚さもまた美徳、大事にするのだぞ」
「そうさせてもらいます」
「その様にな、では行くぞ」
素戔嗚命はいきなり大津波を出してきてだった。
荒れ狂う海の如く激しい攻撃を仕掛けてきた、剣だけでなく拳や足も繰り出し術も放つ。その攻撃を見てだった。
「まさに海やな」
「ああ、嵐のな」
中里と芥川は話した。
「そんな海やな」
「素戔嗚命さんは」
「これはそのまま戦ってもや」
そうしてもというのだ。
「全くや」
「勝てへんな」
「そうなるさかいな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「考えて戦うか」
「そうすることや」
こう中里に言うのだった。
「今は」
「ほなな」
「そしてや」
芥川はさらに話した。
「もう一つあるわ」
「何や、それは」
「荒れ狂う波を止まられるもんがあるわ」
「そうなっていてもか」
「水は止まるか消せるな」
「氷か火か」
「流石にその両方は使えんが」
それでもというのだ。
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