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虚数迷宮は混沌過ぎる

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『虚数迷宮』

其処は何人も足を踏み入れること叶わぬこの世の物理法則が通用せぬ虚数空間に存在する超巨大迷宮。

死者蘇生すら可能とする伝説を持った古代都市『アルハザード』の中心に聳え立つ巨塔。

この『虚数迷宮』は数多ある平行世界、次元世界の情報を持っており中には完全な異世界の情報すらも漂って物質化している。

この『虚数迷宮』は神が創ったとされる。

この物語はこの『虚数迷宮』及びアルハザードに流れ着いた赤子(転生者)がアルハザード最後の住人(ガイノイドのメイド)に育てられ、虚数迷宮を冒険し外の問題にも干渉する物語である。


















―虚数迷宮・337階―

鋼鉄出来た通路を一人の十にも満たない少年が辺りをキョロキョロしながら歩いている。

しかし少年の格好は変わっている。

髪は純白の白で膝裏まで伸び、瞳はルビーの如く紅い。陽の光を浴びていないような肌は雪のように真っ白で、その中性的な顔の左目を黒い豪華な眼帯で隠している。

服装は長い足首まではある漆黒のロングコートに黒いズボン。コートから見えるその下には他には着ずにその病的な肌を晒している。

少年はそんな奇妙な服装でも関係なく晒し、突如何も無い空間を力一杯に掴む。

するとまるで何かがあったかのように掌から赤い光が洩れる。

掴む掌に刀と思わしき柄が握られ、次に鍔。そして何かの背骨を思わせる鋭い幾つもの突起と切れ込みを持った刀が握られる。

―『斬魄刀・蛇尾丸』―

この刀を持った途端少年の姿が変わる。

長い髪は逆立ち額にタオルを巻き付け、服装も黒い和服な着物『死覇装』に変化する。

そのはだけた胸には刺青が走っている。

『物真似神幻導師』そう呼ばれる力である。

そう、彼は俗一般的に言う前世の記憶を持ち神様と出会った『転生者』である。

元々彼………“クリア・オーベルテューレ”は不幸な星の下で育った子供だった。

生まれてから両親からの虐待。満足に飯も貰えず、少しでも怒らせば殴られ蹴られ飯抜きになった。

幼稚園には入れて貰えず知識も不十分で、日に日に痩せ細って今では骨を薄肉で包み、薄皮で覆ったかのような骨が浮かび上がっている。

陽の光など浴びた事が無い肌は血が通っていないように死人を思わせるように蒼白く、生まれつきのアルビノらしく一度も切られたことのない髪は真っ白で地面に着いてなお伸びている。細かな髪はボサボサである。

暗闇でもうっすらと浮かぶその血のような紅い瞳に人形らしい無表情なその顔が恐怖感を与える。

そんなある日、両親がリストラし多額な借金を作ってしまった。

さて、借金があり、リストラし、家に要らない人間がいれ
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