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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十一 似て非なるモノ
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のだ。

その純白の羽織。
外套とは対照的な漆黒の裏地に紡がれた象徴を知って。


だからシカマルは懸命に足を動かしながら、彼女の許へ向かう。
ナルの許へ駆けつけ、彼女に注意を促す。

残酷で冷酷な真実を。


されど、その事実は、他でもない張本人が口にした。


ナルと似た眩いばかりの金の髪。
ナルと似た相貌に、頬の三本の髭のような跡。
ナルと似た青く碧く蒼い、けれどどこか違う双眸。

波風ナルと似て非なる存在そのものが。
















…───約束、したよな。
一緒に、ラーメン食いに行こうって。










四苦八苦していた【口寄せの術】に助言をしてくれたり、誰かに頼ってもいいんだと思わせてくれたり、見舞いに花をくれたり。
そうして、いつか一緒に一楽のラーメンを食べに行こうって約束した相手。
中忍試験に共に参加した間柄だけだったのが、いつの間にか、大きな存在になっていた。


だから、信じられない。
同期の仲間が自分を呼んでいる。切羽詰まったように叫んでいる。自分以外の全員が警戒態勢を取っている。
それが何故なのか、彼女はわからなかった。


不意に、大きな雲がその場の面々に影を落とす。
雲は、大樹の枝上に佇む彼にも例外なく、頭上を覆い被さってゆく。周囲から敵意を向けられている張本人は、涼しげな顔で彼女を見つめ返した。
雲の影と、そして頭上の葉陰で暗くなっても、その眼差しだけは妙に美しく輝いていた。


「…──ナルッ!!」


シカマルの声で、波風ナルはハッと我に返る。肩と共に、ツインテールの長く綺麗な金髪が大きく跳ねた。

何度も自分を呼んでいたらしいシカマルが、同期が、木ノ葉の仲間達がナルに呼びかけている。その声が彼女には何処か遠くから聞こえた。
けれど、先ほどからずっとナルの足は固まっていた。直立不動のまま、ある一点だけを見つめていた。


「そいつから離れろ!そいつは、うずまきナルトは──」


周囲からの視線を一身に集めている彼の服が、ふわり、風で舞い上がる。
純白の外套とは対照的な黒い裏地。

その端に、見覚えのある忌まわしき紋様が垣間見えた。
赤い雲。




「…───『暁』だ…ッ!!」




自分の中の九尾をつけ狙う犯罪組織。その象徴が瞳に飛び込んでくる。

空のように純粋な青を、信じられないとばかりに大きく見開いて、ナルは呆然と彼を仰いだ。
雲間から覗く太陽の光が、波風ナルとよく似た髪の色を煌めかせる。


「………そうだね」

忍び達に完全に包囲されながらも、ナルの視線を受け止めた彼は、滄海の如く深い青の瞳をゆぅ
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