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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十一 似て非なるモノ
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つい先ほどまで、雲隠れの忍びに襲われる前まで、ヒナタとその花について話していたからこそ、すぐに思い至ったナルは、はたと青年の顔をまじまじと見遣った。


あの色とりどりの花の贈り主が目の前にいる。
その事実に思い当ってお礼を述べようと口を開いたが、それよりも自分の兄だと名乗った彼の衝撃的発言が気になって、彼女は上手く言葉を紡げなかった。


けれどようやく、花の贈り主にお礼が言える。
それだけはきちんと言わねば、とナルは視線を泳がせるも、やがて意を決してナルトの眼をまっすぐ見据えると、ぺこりと頭を下げた。


「あの…お花、ありがとだってばよ。その…ちゃんと鉢に植え替えて全部大切に育ててるってばよ」

もちろん忙しいのでナルがお世話できない場合が多い。
その時は花屋であり花のプロフェッショナルである山中いのや、ヒナタが手伝ってくれている。
そのことを身振り手振りで付け足しながら説明するナルの話を、微笑ましげにナルトは耳を傾けていた。

きちんと話を聞いてくれる彼に少しばかり緊張を緩める。
そうしてようやっと、ナルは本題に入ろうと身を乗り出した。


「あ、あの…っ、ほ、本当だってば?あんたがオレの、」
「…────ナルッ!!」



その瞬間、シカマルの声で、波風ナルはハッと我に返る。肩と共に、ツインテールの長く綺麗な金髪が大きく跳ねた。

遠くから駆け付けてきた同期の仲間が自分を呼んでいる。
切羽詰まったように叫んでいる。
自分以外の全員が警戒態勢を取っている。

それが何故なのか、彼女には、波風ナルには今の段階ではわからなかった。









雲隠れの忍びに襲われ、カルイとオモイに連れられて行ったナルの安否を案じていたヒナタは、すぐにこの状況を打破できる人物を捜しに向かったのだ。

カカシはダンゾウと火影の件で直談判しに行っていたのであいにく手が離せない状況だったが、ダンゾウが六代目火影になったという重要な情報を知らせに来てくれたキバも、そしてなによりシカマルを始めとした同期のメンバーを、彼女はその特殊な“白眼”で見つけ出す。

即座に状況を説明し、急ぎ、ナルの許へ向かったヒナタは“白眼”で遠くの小屋にいる彼女の様子を、シカマル達に細かく告げていた。
だから気づけたのだ。

ヒナタもまた、かつて中忍本試験前に、ナルトに出会っている。
ナルとの大事な思い出の品であるたんぽぽの栞を、探し出してくれたナルトのことを好印象に想っていた。

同様に、シカマルも憶えている。
ただしこちらは要注意人物としてだが、うずまきナルトのことを知っているし、警戒していた。

だからこそ、ナルの傍に突如現れたナルトの装いをヒナタから事細かに聞いて、血相を変えた
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