暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第229話:復活の序曲
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悶えのたうち回り、自身の中で暴れる獣の方向に耳を塞ぎ悲鳴を上げていた。

「うわぁぁぁぁぁあっ!? あぁっ!? あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 どれ程そうしていたか、突然電池が切れた様に静かになったミラアルクは意識を失っていた。ベルゼバブが見ている前で、ミラアルクからは再び金色のオーラが噴き出しそれが一瞬”獅子”の様な顔になったかと思うと再びキャロルの中へと戻っていった。

「い、今のは何だ? いや、それよりも……!?」

 ベルゼバブは倒れたミラアルクの様子を見て、そして驚愕した。彼女に施しておいた洗脳が解けていたのだ。洗脳の為に彼女の中に潜ませていた魔力が綺麗さっぱり無くなっている。まるで何かに食いつくされたかのようだ。

 何が起きているのか分からないベルゼバブではあったが、これだけは確実に言える。キャロルに何か秘密があるのだ。このまま放置しておいては、確実にワイズマンの障害となり得る。
 ここは自分の手で確実にトドメを刺しておこうと、剣を構え倒れたキャロルに近付くベルゼバブ。気を失っているキャロルはそれに気付かず、目を覚ました時には既に振り上げられた剣が彼女の体を貫く寸前であった。

「え……あっ!?」
「死ねッ!」

 迫る凶刃を前に、キャロルは咄嗟に目を瞑り愛する少年の名を口にした。

「ハンスッ!!」

 その時、何者かがベルゼバブの剣を弾いた。目を瞑っていたキャロルの耳には剣が弾かれる音と、直後に何かが砕ける音が聞こえてきた。

「何、貴様はッ!?」
「え……?」

 一体何が起きたのかとキャロルが顔を上げ目を開けると、そこに居たのは自分を守る様に立ちはだかる緑色の服を着た女性の姿。その向こうには、手にしていた剣を無残にも砕かれて慄くベルゼバブの姿があった。

 唖然とするキャロルに対し、その女性は振り返り声を掛ける。

「ご無事ですか、マスター?」
「おま、えは……」

 それは女性ではなかった。否、人間ですらない。

 嘗てキャロルの配下として幾度となくS.O.N.G.の前に立ちはだかり、最後には予備機が颯人により倒された筈のオートスコアラー。

 ファラ・スユーフがそこに佇んでいたのだった。
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