第9章 有栖零治
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ウォーレンは鞘から刀を抜く。
「ですが、その刀はまだ完全に目覚めていません。まだ眠ったままの様です」
「「………は?」」
「いえ、ですからまだ眠ったままだと………」
「先輩………?」
「何で俺を見るんだよ!?別に俺のせいじゃ無いっての!!」
「でも何でなんだ………?」
「ずっと使い手がいない内に力を失ってしまったのだと思います」
「………まあ貰い物なのに武器庫に放置されてた位だからな」
「だけど今は違います。今はその使い手がいますから………今は目覚めていなくても飯綱が答えてくれると思います」
「………」
「いや、信用しろよ零治………」
零治に冷たい目で見られ、たじろぐウォーレン。
「お願い、あれを止められるのはウォーレンあなただけ………お願い、みんなを止めて………」
悲しそうな目でウォーレンを見つめるアリシア。
「………任せろ、レオとの約束もあるし、こんな所で死ねないからな」
「約束………?先輩、シャイデがいるのに浮気ですか?」
零治が茶化すように言うがウォーレンは真面目な顔で零治を見つめた。
「先輩?」
「シャイデには悪いと思っているだが、俺はもう………」
「不味いです………」
ウォーレンが大事な話をしようとしたときアリシアが遮った。
2人はアリシアの視線の先、クリスタラーの方へ顔を向ける。
『マスター、あのクリスタラーの魔力が徐々に増大していってます。このままだと本当に手に負えなくなります………』
「はい。そのおしゃべりなデバイスさんの言うとおりです、早く何とかしなければ………」
『お、お喋り!?』
「まあ否定はしないが確かに不味い感じだな」
「そうだな、お喋りは否定しないが急がないとな」
『2人共!?』
ラグナルが叫んで意義を唱えるが誰もが無視をする。
『もういいです………』
すねたラグナルにクスクスと笑い始める3人。
緊迫感に包まれていた3人の雰囲気が少し柔らかくなった。
「それじゃあ行くか零治………」
「今度はいつもの逆ですね、俺が時間稼ぎで先輩が止めを刺すって形ですね」
「悪いがあの化け物を止めておいてくれ」
「任せてください、バルトマンにも勝ってるんですから。………早く準備しないと俺が倒しちゃいますよ?」
「それはそれで俺が楽で助かる」
そう言った後、互いに笑い合う2人。
そして柔らかい雰囲気は消え、再び真面目な顔になった。
「………また会えて嬉しかったです先輩」
「俺こそ………たくましく、強くなったな零治。頼むぞ、相棒………」
その言葉を聞いた零治は一瞬笑みをこぼして空へと向かった。
「ウォーレン………零治さんとはどんな関係なのですか?」
「………俺の息子になるはずだった一番の相棒かな
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