終わりからの始まり
母親
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姉さん、そのあたりにしましょうか」
眼が笑っていないのが怖い。
「──わかったわよ」
渋々とウルドは矛を収めた。
「ですが姉さん、学校にアクセサリーを着けて登校してもいいのでしょうか?」
「ああ、人間の目には見えないから大丈夫よ」
なるほど、ならば問題ないだろう。
次の日の早朝。明日は定休日で仕事はない。
森里恵が「相棒」のはカワサキKSR-IIと共に他力本願寺を訪れてきた。革のレディースジャンパーの上から鞄を斜めにかけている。
森里屋敷はこの時代になぜかインターホンがないので、玄関先で声を張り上げた。
「おはようございます! けいちゃーん、いるー?」
奥から、ぱたぱたとスリッパの音がして、応対に現れたのはベルダンディーだ。
「おはようございます。恵さん。螢一さんですか? 呼んできますね」
奥に去っていくベルダンディー。
(あいかわらず綺麗よねぇ、あれ?でも、何かいつもと違うような……?)
間をおいて、廊下の奥から螢一が出てきた。
「おはよう、恵。こんな朝早くからなんだい?」
起き抜けなのかパジャマのままだ。
(あれ?螢ちゃんもなんかいつもと……)
「どうした、ぼけっとして」
「あ、ああ。借りていた本を返しに来たのよ」
鞄の中から一冊の書籍版を取り出した。
「長い間借りっぱなしでごめんね」
「いやいや、恵なら本を痛めるようなことはしないからさ」
題名と巻数を確認する。
「うん、確かに」
「でもさ、この「転生したらスライムだった件」もいよいよ最終章に入ったわよね」
「んーでも、この巻は最終章のプロローグって感じだけどな」
「驚いたのはあいつの真の名前が「魔導王朝」と同じだったってこと」
「それは俺も思った。これからもまだまだ波乱が……って、おまえなんでこんな朝早くに?」
「もちろん、ベルダンディーのご飯を食べるためよ」
「……おまえなぁ」
「だって美味しいんだもの。いいじゃない、材料費は出してるんだし」
螢一は片手をこめかみにあてた。
「ちゃんと自炊はしてるのか? 「男の心をつかむには胃袋から」って知らないか?」
「やぁーねぇ。私を誰と思ってるの? 桂馬さんと鷹乃さんの娘よ」
「うーん……」
一言で納得してしまう自分がなんとなく悔しい。
ベルダンディーは笑顔で。
「では、螢一さん。ご飯の準備をしますね」
「あれ? さっきみたいにあなたって呼んでくれないんだ」
「確かに私は螢一さんの妻になりましたけど、その……やっぱり、人前であなたって呼ぶのは……ちょっと恥ずかしくて」
「あー、確かに。俺も人前でベルって呼ぶのは照れる……な」
頬を染めあう二人。
なんですと!! 恵は驚愕している。
「ベルダンディー、い、今、なんて!?」
「ちょっと恥ずか
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