終わりからの始まり
母親
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ゃなくて真剣に純粋にこれなんだから。
「SEXよ!地上界の男女の性交のこと!──いい、あんまり深く調べたらだめよ。こんなことは実体験じゃないと伝わらないんだから」
検索したのか、ベルダンディーの頬がさらに赤くなった。驚きと困惑と戸惑いが混ざっている。
ウルドは呆れた声で。
「少しは理解できたかしら」
普段は常人並だが、女神の本来の思考速度はスーパーコンピューター以上である。
理解した上で。もじもじと身体を揺すっている。
「──でも、でも、私、処 女で、やっぱり怖いというか、うまく出来るか不安で。あとは、処女だからこそはじめての夜は螢一さんから誘って欲しい……と思いまして」
最後の方は再び俯いて消え入りそうな小さな声になってしまっていた。
あまりの相談内容にウルドは唖然としていた。
ベルダンディーは真っ赤になった顔を上げた。
「ですので、あらためて姉さんに相談したのいです。どうしたら処女を螢一さんに捧げることができるでしょうか」
「あ──ね……」
しばらくしてようやく質問の内容を理解したらしく、ウルドは片手で後頭を掻いている。
「つまり螢一に女神としてだけではなく女性としても愛して欲しいのね。心が重なれば身体も重ねたくなる。特別なことじゃない自然なことだわ」
ユグドラシルで検索すればそれこそ無数の数の事例が出てくるのに。
「螢一は」
ウルドは胸の前で腕を組むと。
「あの調子だとまず間違いなく童貞よね」
「え?……ええ、多分」
ウルドは少し考えて。
「難しいわね。神属にとって処女喪失は大事な通過儀式。問題はそこを螢一が何処まで理解してくれるか、よね」
「大事な通過儀式ってなんですか?」
「あんたってばこんなことも知らないわけ?」
「以前の私は女神の仕事が楽しくて気が回りませんでした。事務所でもそうした会話は皆無でしたので」
「──はぁ」
天然すぎるのも考えものね。まぁ、それがこの娘のいいところでもあるんだけど。
「愛し愛されて初めてを迎えた後、神属はもう一段階上の存在に昇華するのよ」
「レベルアップみたいなものですか?」
「うーん。ちょっと違うわね……どう表現すればいいのかしら。脱皮、羽化のほうが近いかな」
今の段階でも一級神のエースと名の高いベルダンディーである。これで「羽化」したらどのような存在になるのだろう。
「だから「捧げる」とか「失う」とかの表現は適切じゃないのよ。ともかく、はじめに言えるのは「焦らない」ことね。これはいつ何処でエッチをするのかと同時に、行為の最中でも言えること。あなたの焦りが螢一にも伝わってうまくいかなくなる、なんてことは充分考えられるわ」
それから、と続ける。
「初体験に失敗してその後の関係が気まずくなる
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