終わりからの始まり
母親
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、こうするわよ」
ベルダンディーの問いにアンザスの指の先から鉛色の玉は消えた。
螢一さんの記憶の一部を消すなんて。
「思い出しもしない、むしろ害になっている記憶なんて無いほうがいいと思うけど?」
「私も同じ意見だわ」
アンザスの言葉に鷹乃が追従した。
同時に止まっていた螢一も動き出す。
「あ、あれ?」
「大丈夫ですか、螢一さん」
心配そうなベルダンディーに螢一はキョトンとした顔で。
「今なにか……?」
アンザスは微笑んだ。
「あなたのトラウマを削除しました。まあ、荒療治ですけれど。このくらいするのが丁度いいでしょう。良かったわねベルダンディー、これで螢一さんSEX出来ますよ」
真っ赤になる二人に鷹乃が。
「まあ、初々しいこと。新婚はこうでないとね」
「素敵な「初夜」になると良いわね」
アンザスは目の前のお茶菓子を一口頬張った。
「うん♪ やっぱり美味しいわ、天上界で評判になるのもうなずけるわね。これは本格的に女神の何人かを地上界に降ろして修行させて、──ああ、でも「規約違反」なのよね」
「よかったら私がアンザスさんに教えましょうか?」
鷹乃の申し出にアンザスは目を輝かせた。
「え? よろしいのですか?」
「もちろん、これでも二児を育てた母親よ」
螢一がジト目で。
「いやぁ、それはどうかな」
「なんだってぇ」
「水気たっぷりでベチョベチョの大福餅に焼きすぎてカリカリになったケーキ。鷹乃さんは他は完璧なまでに非の打ち所のない「母親」だけど「お菓子作り」だけは」
「いったわね!」
「だから「母親としては完璧」なんだって! だけど「お菓子」だけは──」
「ちょっとこっちへ来なさい!!」
鷹乃に引きずられて別の部屋に消えていく螢一。
見送ってアンザスは。
「微笑ましいこと。でもあの様子だと「お菓子」はあきらめたほうが良さそうね」
「でしたら、私がお母さまに教えて差し上げましょうか?」
「んーでも、娘にお菓子作りを教えてもらう親ってどうなのかしら」
「地上界に良い格言があります。「細かいことは気にしない」」
いや、それ「格言」じゃないから。
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