終わりからの始まり
母親
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ンザスが。
「サン=テグジュペリさんの言葉ですね。私からも同じ人の言葉を贈りましょう。「計画のない目標は、ただの願い事にすぎない」」
戸惑う螢一とベルダンディーを見つめて優しく微笑むアンザスであった。
「難しく考えることはありません。大きな目標が決まっていれば、おのずと達するべき道も見えてきます。まずは螢一さんの大学卒業ですね」
「──ただし!」
鷹乃の一喝が入った。
「生活が安定するまで子供は我慢しなさい」
「あ、いや。お金のことなら私が」
「ウルドさんの気持ちはありがたいけど、それでは何時まで経ってもこの子達は自立できない、半人前よ」
螢一が遠慮がちに片手を上げた。
「人間と女神の間で子供ってデキるんですか?」
「確率は少ないですけど可能ですよ」
アンザスは一口お茶を啜ると。
「もともと神属が妊娠するのは「女神のこの人の子供がほしい」って強い気持ちがあってこそなのよ。危険日にSEXしたからデキました、じゃないの。ましてや異種族だもの、螢一くんの気持ちも大事になるわ」
神属に「危険日」はないそうだ。
「俺の気持ちって……さすがに今の経済状態じゃなぁ……」
「それから螢一、大学を卒業したら仕送りは止めるからね」
苦虫を噛み潰したような表情に。
「このご時世だから桂馬くんの仕事も減ってるからね。成人した息子をいつまでも養ってられないのよ」
「大丈夫、なんとかなりますよ螢一さん。ところでお母さまは本当に休暇だから降りて来てくださったのですか?」
ベルダンディーの問いにアンザスは慈愛の微笑みを浮かべ、胸の前で手の平を合わせると。
「そうそう、そうでした。これをベルダンディーに渡したくて」
手の平を離すと間から「光球」が飛んでベルダンディーの前の空間で止まる。
「これは……何かの結界のようですが」
「精神の物質化現象を封じ込める結界です。これからの二人には必要な物でしょう」
あと、螢一さん。
「あなたは女性に対してトラウマを抱えてますね」
「え……」
アンザスは人差し指を螢一に向けた。
横で鷹乃が「ああ、あれか」と一人で納得している。
螢一の身体が停止ボタンを押したみたいに固まった。
精神操作系の法術が発動している。
「お母さま、無茶です!」
顔色を変えるベルダンディーだが。
「私が失敗するとでも? ええーと、どれかなーと、ああ、あったこれこれ」
天井に向けた人差し指の先の空間には鉛色に鈍く光る、一センチほどの玉が一つ。
「なるほど、小さい頃に女の子に暴行を受けてお年玉を取られた、っと」
鷹乃が補足する。
「螢一ったら一晩中股間を押さえて唸ってたわね。結局犯人は見つからずじまい。お年玉も取られ損」
「それをどうするつもりですか」
「もちろん
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