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ああっ女神さまっ After 森里愛鈴
終わりからの始まり
母親
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なかったの」
 螢一は、ここは御託を述べるより、素直に頭を下げるべきだと判断した。
「すいませんでした!!」
 と、その場に土下座をする。
「よろしい。許す」
 螢一は座り直すと。
「あらためて、鷹乃さんに俺たちからお願いがあるんだ」
「お願い? まあ、聞くだけなら聞いてあげるけど」
「婚姻届の証人の欄に鷹乃さんの名前がほしいんだ」
 ベルダンディーが何処からか記入済みの婚姻届を出してテーブルの上においた。
「お願いできますでしょうか」
「つまりこっちでも正式に結婚したいと」
「駄目でしょうか」
 ふむ、と考え込む鷹乃。
「その前に、螢一に二つ質問がある。返答次第では記入してあげる」
「質問て」
 戸惑う螢一。
 鷹乃さんは少し間をおくと。
「まず一つ目、螢一、あんたは生涯この娘を命がけで守る覚悟はあるかい?」
「ああ、もちろん」
「いい眼をするようになったね、うんうん、少し見ない間に男を磨いたもんだ。では二つ目の質問。あんたは大学を卒業して何をしたい?」
「え……なにって」
 戸惑う螢一に鷹乃は畳み掛けるようにして。
「あんたの将来のことを言っているのさ、まさか一生、小さなバイク店のメカニックで過ごす、なんてわけないよね。桂馬くんにも言われたはずだよ「男ならいくつになっても胸の奥底に大きな絵を掲げておけ」って」
「将来、将来か……」
 はじめて「大きな絵」の意味を知る螢一。
 漠然と今と同じような生活が続くと思ってたけど、違うんだな。今はいつか終わる、でも終わりを決めるのも、また今に掛かっているんだ。だったら俺の目標は一つ。
「俺は自分のバイク店を持ちたい。バイクが楽しいものだってことみんなに知って欲しいから」
「バイク業界は斜陽業界だよ。よほどの金持ちか物好きでないと手を出す人はいないだろうね。それでもかい」
「もちろん、だからこそやりがいがある」
「本気みたいだね。わかった──ではベルちゃん」
「はい」
「あなたはどうするの?」
「私、私ですか……」
 螢一さんは自分の夢を定めた。だったら私の答えも決まっている。
「私も螢一さんと同じ目標に進みます。妻になったからではありません、私自身が螢一さんと同じ気持ちだからです」
 鷹乃は目の前の湯呑を持つと一口すすった。
「美味しいお茶だね。いい奥さんになるよ。ベルちゃんは」
「え、それじゃ」
 鷹乃は湯呑をおいてニッコリと笑うと。
「婚姻届にサインをしてあげる」
 座り直して背筋を真っ直ぐにした。
「愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることなのよ。見つめ合っているうちは恋。だけど同じ遠くの方向を見つめることが愛なのさ。……桂馬くんの好きな言葉だけれど、そもそもこれは誰の言葉だったかしらね」
 ふいにア
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