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ああっ女神さまっ After 森里愛鈴
終わりからの始まり
母親
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くまで起きていても七時には眼をさます。これは他力本願寺に居を構えてからの習慣だ。
「ちょっと寝すぎたかな──と」
 身体を起こして大きく伸びをする。布団を自分で畳んで押し入れにしまうと。
「じゃ、顔を洗ってくる」
「ご飯はもう出来ていますよ」
 茶の間のちゃぶ台の上には。「これぞ日本の朝食」といった感じのメニューが並んでいた。
「ごちそうさま。美味しかったよ」
「ありがとうございます、では片付けますね」
「ちょっと待って」
「え、はい」
 螢一はベルダンディーの瞳を真っ直ぐ見つめると。
「昨日は本当にごめん。俺は、一人で抱え込むんじゃなくて、きちんとベルに相談すべきだったんだ」
「確かに。私、少し怒っています、だから……お仕置きです」
 ベルダンディーは螢一の頬にキスをした。
 照れくさそうに笑う螢一。
「あ、あと、今日の昼頃、鷹乃さんが家に来るんだけど」
「私のお母さまも昼頃……!?」
「ちょっ、ちょっと待って。お義母さんのアンザスさんが昼頃降りてきて……」
「お義母さまの鷹乃さんがお昼頃、訪ねていらっしゃる……」
 数秒の間。
 ええぇぇぇぇぇぇっ!!
 重なる 吃 驚 (びっくり)の声にウルドが怒鳴り込んできた。
「なによ、うるさいわね!」
「どうしよう、ウルド、アンザスさんが降りてくる!」
「知ってる」
「どうしましょう、姉さん、鷹乃さんがいらっしゃいます!」
「あ、今知ったわ」
 苦笑するウルドであった。
「まぁ、落ち着きなさいよ、二人共。結婚した家の双方の親が顔をあわせるなんてよくあることじゃない」
「あ……」
「はい、そうですね」
「にしても」
 ウルドは失笑混じりに。
「あんたが取り乱すの久しぶりに見たわー」
  お恥ずかしいです。ベルダンディーは頬を染めている。
「あ、婚姻届の証人の欄、鷹乃さんに埋めてもらったらどうかしら」
「いいですね、私からもお願いしてみます」
 輝くような笑顔を見せるベルダンディー。
 しかし、螢一はジト目で。
「あ……、それはどうかな、きっと今頃……」
 時間は少し進んで。
 1970年型の日産ブルーバードSSSが、猫実市の市街に入ってきた。ドライバーはもちろん、螢一の母親「森里鷹乃」だ。
「まったく、親に黙って結婚なんて二万年早いわ! これはきっちり〆とかないとね」
 他力本願寺へのゆるい坂を登り、流石に境内に直接乗り込む動線はないので、併設されている駐車場に停めた。キーを抜きドアの鍵を締め、母屋に向かう。玄関先で立ち止まって、ちょっと感慨深げに呟いた。
「ここに来るのも久しぶりね」
 何かが上空で光るのを感じた。日光とは違う輝きに思わず視線を向ける。
「え……」
 遥かな天空に法術陣が現れていた。まるでスポットライト
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