終わりからの始まり
覚醒
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こほん、とひとつ咳払い。
「まずは螢一さん、あなたに天上界がどのような形で運営されているかを知ってもらわなければなりません」
「はぁ……」
螢一の生返事。
「一番上に大天会長ティールさんが存在します。主神とも言いますね。次に女神集合体代表取締役アンザスさん。その下に大法院、さらにその下に戦闘部隊のワルキューレと各種行政機関が存在します」
「行政とか立法とか、って大法院てなんですか?」
「平たく言えば政の中枢ですね。日本で言えばティールさんとアンザスさんは天皇、皇后と言った立場でしょうか。私たち「お助け女神事務所」とライバルの「アースお助けセンター」はアンザスさんの直轄になります」
メイプルはここで一拍置くと。
「ここまではよろしいですか?」
「はい」
「では、続けます。「お助け女神事務所」、女神の仕事には大きく分けて三つが存在します」
メイプルは顔の前で右手の人差指を立てた。
「一つ目は地上界の監視です。困っている人がいないか、幸と不幸のバランスが崩れている人がいないか、女神は監視しています」
さらに中指が立てられた。
「二つ目は地上界への女神の派遣です。幸と不幸のバランスが崩れている人の望みを女神は一つだけ叶えます」
薬指が立てられた。
「三つ目はユグドラシルの管理、調整です」
「いっちばんつまんない仕事よねぇ」
「あら、ウルドさん。仮にも神属のあなたがそれをおっしゃいます?」
ユグドラシルは高次元生命体である神属が地上界に顕現するにおいてとても大事な役目を担っている。自然の精霊や妖精、はては自然そのものの力を変換して「女神の肉体」を構成しているのだ。
「もともとは私たちも三次元の存在でした。長い長い時間と努力で肉体を捨て、高次元生命体に至ることが出来ました。ですが、そこで問題が発生したのです。肉体がない。これは私たちにとって大きなストレスとなりました。矛盾していますよね。望んで肉体を捨ててなお、肉体を求めるなんて。そこで私たちはユグドラシルを作り上げました。高次元生命体でも肉体を得られるように……」
どうやって作ったかは割愛しよう。本編とは関わりが薄いからだ。
「これがユグドラシルの存在する理由です。おっと、話がそれましたね」
メイプルは薄く微笑んだ。
「ところで螢一さん、女神はどうやって救済する人の選別をしていると思いますか?」
「どうやって、て……幸と不幸のバランスが崩れている人ですか?」
「それは基本中の基本です」
「それ以外にあるの?」
スクルドの問い。
「いくらバランスが崩れていても、「世界の破滅」を望むような方の元には女神は降りません。また、天上界は女神と人の交わりを厳しく制限しています。故に「女神と交わりたい」と望む方にも女神は降臨しません」
メイプルはため
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