終わりからの始まり
覚醒
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に変形した「森里屋敷」の姿に、視線を交わすベルダンディー、ウルド、ペイオース、リンド。
螢一は呆れ顔である。
「そうだった。忘れてた」
大丈夫、私に任せて。とスクルドが名乗り出た。
「今度は私一人でやってみる」
「ほほぅ、大きく出たわねぇ。あんた一人で本当になんとかなるの?」
挑発するウルドに「そうね」とだけ答える。
いつもなら壮大な口喧嘩から実力行使にうつるはずなのだが。
スクルドは両腕を広げ大きく深呼吸をすると、背中の天使に呼びかけた。
「いっくわよぉ、ノーブル・スカーレット!!」
両腕を「森里屋敷」に向けて突き出す。
法術が奔流のごとく溢れ出した。黒髪が風に煽られたように乱れる。
「歪んだ森里屋敷」が舞い上がりながら分解し、残骸は地上に降りて再構築した。もとの「森里屋敷」に。
「ありがとう、大好きよ」
天使に微笑みを贈った。
天使はスクルドの頬に己が頬を寄せると、背中から消えた。
静寂を破ったのはメイプルの拍手だった。
「凄いわ、スクルドさん。神力をあげたわね」
「ありがとうございます」
でも、ちょっと疲れた。と、その場にへたり込んでしまった。
そんなスクルドの前に、ウルドが背中を向けてしゃがみこんだ。
「?」
「なにしてるの?はやくお家に入るわよ」
「え……うん」
一同は「みんなのティールーム」に入ったのだが、流石に、螢一、ベルダンディー、ウルド、スクルド、ペイオース、リンド、メイプル、クロノの人数が入ると八畳間では手狭に感じる。室内にはちゃぶ台やテレビ、水屋タンスなど家具も置かれているのだ。ちゃぶ台を挟んで螢一、ベルダンディーの二人とメイプル、少し後ろに下がってクロノ。螢一から見て右手にはスクルド。左手にはリンド。狭いのでウルドとペイオースは、それぞれスクルドとリンドの斜め上の空中に浮かんでいる。
完全に帰るタイミングを外してしまった。と、心のなかで呟く、ペイオースとリンド。
ベルダンディーたち三女神は戦衣から普段着に着替えていた。
「さて、私が地上界に降りてきた理由を話す前に……って、この家はお客さんが来たのにお茶菓子の一つも出さないのですか?」
とんとん、と指先でちゃぶ台の表面を叩く。
「え?そ、そうですね」
ベルダンディーが腰を上げて台所にある冷蔵庫からカップアイスを持ってきた。
ああ、それあたしの、と抗議の声をあげるスクルドに、螢一がまた後で買ってきてあげるからとなだめる。
カップアイスを堪能して。
「ん──、やっぱり地上界のお菓子は美味しいですわね!」
ご満悦である。
「さて、それじゃ、帰りましょうかしら」
「あんたなにしにここに来たの!?」
怒鳴るウルドに、右手の人差指を上に向けて胸の前で振る。
「冗談よ、冗談です」
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