終わりからの始まり
覚醒
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ベルダンディーやウルドが再生に加わっても歪んだままだ。既に二十回を越えているがもとに戻らない。
「こんなにやっているのにどうして……?」
困惑する女神たち。その後ろでただ状況を見ることだけしか出来ない者が二名。
「お姉さま、がんばって……」
スクルドの表情にも悲壮感が漂いはじめた。
一方、螢一は思考の海にいた。
直しても直しても元に戻る。直しても元の形戻らない。元の形……元の形……あ!! そうか!!
名前を呼ばれて振り返ったベルダンディーは、螢一がスクルドに見えないように、妹を指差しているのに気がついた。
え?
スクルド? 壊す、直す、元の形。
螢一がサムズアップしている。
……あ!!
柔らかな微笑みを女神は彼に贈った。
以心伝心。これだけで通じ合う二人。なんとも羨ましい限りである。
ベルダンディーは離れて立っているスクルドを呼び寄せた。
スクルドと同じ目線の高さまで身をかがめ。
「今からあなたに真実を伝えます」
「え、しん……?」
「はい。真実です。私の名前において嘘偽りではありません」
ウルドが慌てたように二人の間に入ったが。
「姉さんの気持ちはわかります。ですがスクルドももう真実を知っていい頃でしょう。これはこの娘自身のためでもあるのですよ」
ベルダンディーの迫力に押されてしまう。
数瞬、考えを巡らせていたウルドだがやがて。
「いつまでも足踏みをさせてはいられないか……わかったわ」
二人の姉の会話にスクルドはついていけない。今から告げられることが真実であることだけは理解したけれど。
「いいですか?よく聞いてください。あなたは法術を使えないんじゃない。使えていたのよ」
ベルダンディーの言葉に思考が止まる。
「あなたの法術は詠唱を必要としない常時発動型。魔界でばんぺいくんを組み上げたのはあなたの法術の力なのよ」
続けてウルドがさらに衝撃的なことをつげる。
「法術を使えない?とんでもない。あんたはそう思い込んでいただけ。だから「機械」を造ることに逃げた。「機械」に頼ってしまった。「機械」に頼るがゆえに、法術が限定されてた。あんたは自分を信じていなかった。信じる力こそが法術の根源なのよ」
スクルドの思考がぐるぐると回る。
機械……法術……機械……え?法術。
巡り巡る思考の中で湧き上がってきたのは憤りだ。
「どうして誰も教えてくれなかったの!? どうして誰も道を示してくれなかったの!!」
螢一が告げた。
「それはね、みんながスクルドのことを好きだからだよ。君の紋章は未来。未来という光の種を大切に育てたかったからなんだ」
ペイオースの両腕が後ろから抱き込んだ。
「あなたはまだ幼い樹のようなもの。幼いがゆえに強風が吹けば折れて曲がってしまう
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