終わりからの始まり
エピローグからのプロローグ
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してたの」
彼の顔はトマトも白旗を揚げるほど真っ赤である。
「ありがとう。螢一さん、あなたを好きになってよかった」
「ベルダンディー」
いい雰囲気の二人の間にゲート(であったもの)が割って入る。
「待て、ちょっと待て。まだメインの質問が残っている。あの結末が訪れることが分かっているのに、それでもなお、共にあり結ばれることを望むのか」
螢一はゲートを見つめ直した。これは……。
「どうして分かっているんだ」
「わかるさ神だから」
「それはおかしい」
「何がおかしいんだ」
「君は嘘をつけるのか、さもなくば思い込みか」
「どういうことかな」
「もしも全てが決まっているのなら、裁きの門なんて必要ないじゃないか。通り抜けられる可能性がある。ゆえに、未来が悲劇とは限らない」
「む……ぐ……。確かに思い込みはあったようだ。可能性──それは確かにゼロじゃない。しかし君たちはあの悲しみを繰り返す可能性は考えないのか?」
虚を突かれたような人と女神。
「ほら、やっぱり怖いだろう。無理をすることはないんだ。螢一くんだってベルダンディーを消したくはないだろう?」
「確かに悲しかった。後から後から湧いてくる悲しみの泉だった……あんなに悲しい気持ちには触れたことがない」
「そうだろう。だから」
「でも、その何十倍もの幸せを感じていたよ」
女神も同調する。
「私もです。心地よい安らぎと確かな信頼を感じていました。それは幸せの道標、それは笑顔への扉」
「だからむしろ感謝している。この先の幸せの光とかけらを教えてくれた、裁きの湖畔に」
やれやれまさか、あの状況から喜びと幸福を捉えるとはな。
「それでもなお、別離の時にあの悲しみがあると知りながら、ともに歩む決意があると?」
「……ベルダンディーの言葉を俺は覚えているんだ」
『悲しみの大きさは愛情の深さの証明なのですから。悲しみを恐れていたらなにも愛せないわ』
そうか……そんなことを……。
「それはその時俺が気づかなかった、ベルダンディーの覚悟。その言葉はきっと今この時のため。そんな覚悟に対して覚悟を持って応えずにどうするんだ」
ゲートはその胸のうちで。
覚悟か……それがどれ程のものであるのかな……。
螢一はゲートの正体がゲート本人でないと見破った。
「いったい君は何者なんだ?」
「なかなかに恐ろしいな君は。──久しいな、ベルダンディー」
「……!! まさか!! お父さま!?」
びっくりして驚愕してテンパる螢一をゲートであったものは見て。
「こいつおもしろいなぁ」
混乱の中で螢一は思わず。
「お父さん、娘さんを僕に下さいっ!!」
と叫んでしまった。
「って、うわぁ、なにを言ってるんだぁっ!」
「……!!」
ベルダンディ
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