終わりからの始まり
エピローグからのプロローグ
[7/20]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ベルダンディーは湖の女神の中で、二人の様子を「見せられて」いた。
湖の女神はもとは人間だった。湖に生贄として捧げられ、「何者か」の声によって「このまま死ぬか」「人々の幸せを選択を持ってその手の掴む助けとなるか」と選択を迫られた。以来、彼女は女神となったが、湖に縛られ離れることはできなくなった。
二人は出会い、互いに恋をし、恋はやがて愛情となった。しかし残酷な時は「別れ」と繋がり、吟遊詩人の「老衰」による「死」となって訪れた。
愛しているならあなたを飛び立たせなければいけなかった。ごめんなさい、わかってはいても私はあなたといたかったの。
俺は君と出会ってここにいることに後悔はないんだ。
吟遊詩人は生涯で最後の詩を歌う。
見ゆるは渚……
耳に届く潮騒……
髪をくしけずる風はかすかに青に……
君と見る蒼
君と聞く碧
君と行く砂はま
歌の間、湖の女神は青い砂浜と白い渚を確かに見ていた。
吟遊詩人は息絶えた。
湖の女神は海へ行こうと立ち上がり、しかしかなわなかった。無情にも湖の底に封印され──物語は幕を閉じた。
そして螢一とベルダンディーは裁きの湖畔から帰還した。
涙が止まらない。
伝えたい思い。
伝わらない思い。
残すもの。
残されるもの。
その先にあるもの。
ゲートが二人に話しかける。
「どうだったの?あれがあなた達の結果なの。あなた達はその悲しみを知ったの。その悲劇をみたの。それでもまだ二人が結ばれるのを」
何者かがゲートに干渉した。
「さらに君はベルダンディーに不審を抱いているはずだよ」
「え?」
ぽかんとする螢一。
「え?じゃないだろう。君に黙って抑制していたことだよ」
「なんだ、君も勘違いしていたのか」
「な……に……」
「俺がショックを受けていたのはベルダンディーに辛い思いをさせていたからだよ」
驚くベルダンディーとゲート。
「ベルダンディーは俺を守ろうとしていてくれたんだ。俺の不用意な一言が原因なのに、そんなにまでさせてしまったのが申し訳なかった。だけどそれは、そこまでして「一緒にいたい」と思っていてくれるということなんだ。──そんな女神をもっと好きにならずにいられるだろうか」
これが「森里螢一」という男である。どこまでもまっすぐでバカ正直。そしてどこまでも優しい。
呆けたような顔で見つめてくる女神に、螢一は焦ったように顔を赤くした。
「ごめんなさい……螢一さん。私、もう一つ黙っていたことが」
女神たちは困っている人を探しその人が救済に当たるかどうかを見ている。そこでベルダンディーは見ていた。ずっと螢一を見ていた。運が悪くて、不器用で、一生懸命で、優しくて。ずっと見ていた。ずっと応援していた。
「私、その時から螢一さんに恋
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ