終わりからの始まり
エピローグからのプロローグ
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ーは一度開けば二度と戻せぬパンドラの匣を開けてしまったのだ。
「改めて問います。森里螢一くん。どうしますか拒否しますか。それとも通りますか?」
裁きの門を通るか否か。
螢一はほんの少しの間考え込んでいたが。
「やります」
「この中で起こることはあなたの精神を崩すかもしれない、それでもやるのですね」
確固たる決意の表情で彼は応えた。
「やります!!」
「森里螢一、裁きの門への入門許可申請、受理しました。──では、一級神二種非限定女神ベルダンディー。あなたは裁きの門に入りますか」
私に門に入る資格が……? 螢一さんを欺いていたというのに。
螢一は後ろに立つ女神を振り返ってサムズアップをしていた。
そう……私はこの人を守りたかった。この人を守りたくてこの選択をした。なら道はきまっている。
「門に入ります」
「……わかりました。一級神二種非限定女神ベルダンディーの裁きの門への入門許可申請、受理しましす」
戻って来られないのに、やはりそう答えるのですね。
そう、この門をくぐって戻って来たものは皆無だった。
「ゲートオープン」
開いていく裁 き の 門
中に入ろうとする螢一をアンザスは呼び止めた。
「お待ち下さいな螢一さん。ひとつ聞かせてください。こんな信頼の失われた状態で、入ってしまっていいのですか」
「失ってる?誰が誰への?」
「あなたがベルダンディーのですよ」
キョトンとした後、彼は笑って応えた。
「それは、勘違いされてます」
門の向こうへ消えていく二人を見送って。
「勘違いって。どういうことです?」
視線を向けられたヒルドは、さあ?とばかりに両腕を広げてみせた。
「無事に戻ってくるかしら」
「異種族恋愛審問官としては職務に公平であるだけです」
「では、母親のアンザスとしては?」
ふうっ、とため息をつくアンザス。
「あの娘の泣き顔は見たくありませんわね」
裁 き の 門の中に入った二人は、人の姿をしたゲートの案内により、試練に送り出された。
「裁きの湖畔へご案内なの」
二人は足元から転送ゲートへ飲み込まれていく。
最後になるかもしれない。ベルダンディーは螢一に必死で呼びかけた。
「螢一さん!ごめんなさい、でもだましていたわけじゃないんです!私は螢一さんと!」
「ベルダンディー!」
転送ゲートへ消えていく二人を見送って、ゲートはその場に座り込んだ。
「戻った者のない道だけれど。待ってみるの。もし戻ってきたら、信じるってなんだかわかる気がするの」
裁きの湖畔。
ここは過去の世界で一切の干渉が許されない。
そこで二人が見たものは、吟遊詩人と湖の女神の悲恋の物語だった。
螢一は吟遊詩人の中で、
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