終わりからの始まり
エピローグからのプロローグ
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まるで吸引力の落ちない掃除機のように一気にヒルドの手の平に吸い込まれていく花たち。
「いや……しかしいいものを見せてもらったな」
「私、記録を取りました」
と、リンドとペイオース。見れば二人の手のひらの上に、先程のキスをする二人の立体映像が浮かんでいる。
「え!! あの」
焦るベルダンディーにペイオースは「してやったり」とした顔で。
「もちろん、お二人にもお渡ししますわ。記念にしてくださいませ」
ベルダンディーの前にも同じ像が浮かんだ。怒っていいのか喜んでいいのかと複雑な気分だった。
「これで、ミッションオールコンプリートね」
童女のようにヒルドは笑った。
「螢一さん」
「え?」
「着替えましょう」
いつまでも第九種紫法級礼装とタキシードではいられない。
ベルダンディーは自分の衣装を「女神服」をモデルにした青と白のワンピースに、螢一の衣装をデニムのツナギに変化させた。
こうして女神と人は日常へと帰る──はずだった。
他力本願寺の前に降り立つ一行。
「ちょっと大変なことになっているわね」
「大変て、なにがですか?ヒルドさま」
マーラーの問いにヒルドは「変形して閉じなくなった魔界への門」を指差した。
「閉じなくしたのってだあれ?」
「私が立案して」
「私が「修復法術」を使った」
ペイオースとリンドが挙手をした。
「え?」
「知らなかったのか?ベルダンディー。私は「修復法術」が苦手なのだ」
「では、私たちのお家が歪んで再生されるのも」
「私のせいだ」
ベルダンディーは呆気に取られてしまった。「なんとかしてくれる」と信頼していたが、このような形でなんとかするとは思ってもみなかった。
長いため息をつくヒルド。
「私が保険として六時間に限り魔界の門を開いたのはねぇ、七時間以上開け放しておくととってもまずいことになるからよ」
「まずいことってなんでしょうか…?」
困惑するベルダンディー。
「時に忘れ去られし虚空の扉、これより湧き出し終末の闇、全てを呑み込み総てを滅ぼさん」
キョトンとする一同。
「ねぇ、ウルド。終末の闇ってなあに?」
スクルドの問いに自分も初めて聞いたと。
ヒルドは改めて一同に向き直り。
「終末の闇。そうね、どう表現したらいいかしら。実態のない影、霧かな。質量反応が無いから物理的な手段でシャットアウトすることが出来ない上に、電子機器も破壊、人間程度なら包まれただけで瞬時に絶命するわ」
闇に触れたあらゆる生きとし生けるものは、瞬時に生命活動を停止する、凍ったりしないが、その遺骸はまるで液体窒素につけたかのごとく、少し触れただけで、粉々に砕け散ってしまうのだ。
「法術とか魔術で封じ込めることはできないのか?」
リンドの問い
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