終わりからの始まり
エピローグからのプロローグ
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よねぇ……ねぇ」
顔を覗き込んでくる姉にベルダンディーは真っ赤になって。
「ですが精神の物質化現象が……」
「なぁに?それ?」
ヒルドが解説を入れた。
「ベルちゃんの精神状態が形となって空間に物質を造り出すのよ、魔界では見事に大量の花が咲いたわ。大丈夫、後始末はあの時同様、私がやってあげるから」
「そういうことなら、おもいっきりぱーっと行ってしまいましょうか!!」
ペイオースがノッてきた。
真っ赤になって見つめ合う螢一とベルダンディー。
から少し離れてマーラーが渋い顔をしている。
「あの〜、ヒルドさま」
「なあに?マーちゃん」
「わたくしはもう退席してよろしいでしょうか?」
「ああ、そっかぁ」
マーラーは「めでたい物アレルギー」なのである。結婚式の途中で目を覚ましたが、非常に苦しい思いをした。彼女にとってこの場に留まるのは、アレルゲンの中に浸かっているようなものだ。
「いいけど、退席したら後でお仕置きね」
嗤うヒルドにマーラーの背筋が凍った。
お仕置き。彼女は仕方なく場に留まった。
そ〜れ、キッス、キッス。と囃し立てる一同。驚いたことにリンドまで仲間に入っている。唯一スクルドだけは背中を向けて膨れ面をしているが。
「あーでも、スクルドが反対してそうだし」
螢一の最後の抵抗も。
「わかったわよぉ!!」
振り向いたスクルドの顔は真っ赤である。
「結婚しちゃたんだし、お姉さまと螢一がなにをどうしようと、もう口を挟まないわよっ!」
「う……」
ベルダンディーとキスをするのは問題ない。むしろしたい。人前でなければ。
「あの……螢一さん」
「はい?」
「私はかまいませんよ」
やれやれだ。螢一は覚悟を決めた。
「え……っと、じゃぁ」
「はい」
互いの顔は真っ赤で、心臓がいまにも飛び出しそうなほど高鳴っている。
向き合ったまま視線をそらす二人。
「あの……ちょっと」
「そうだね、落ち着こうか」
背中を合わせて大きく息をついた。
やがて決心がついたのか二人は向き合う
ベルダンディーは愛しい人の腕の中に身を預けた。
螢一さん
ベルダンディー
重なる唇
同時に黄金の法術陣の上に広がる無数の花
美しい まるで名匠の手掛けた一枚の絵画のごとく
この時、女神の中で何かが芽生えた。
「これは……」
「ああ、凄いな」
やがて二人は唇をはなした。だが、額と額をくっつけたまま抱きあっている。
ペイオースは微妙な顔をしている。
「私、なんだか胸焼けがしそうですわ」
「奇遇だな、私もだ」
「あたしも──」
リンドとウルドが同意した。
「はいはい、それじゃ」
ヒルドの声に我にかえった螢一とベルダンディーは慌てて身体を離した。
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