南洋の死神
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協調を保ちながらもそれぞれが独自の文化を持ちそれぞれの発展を遂げている東南アジアであるがその扇の要となっているのがシンガポールである。
イギリスの植民地から独立したこの国は国土も狭く人口も少ない都市国家である。しかしその地の利と厳格な法治主義、人材育成により一大商業都市国家となった。その繁栄はかって植民地の寒村であった事など思いも寄らぬ程であり環太平洋地区の経済の中心地の一つと謳われる程である。高層ビルが立ち並び整然とした街にはゴミ一つ落ちていない。シンガポール政府の厳格な政治によるところも大きいがこの国の人達のモラルの高さが窺える。さながら南洋に浮かぶ真珠である。人工的と揶揄される事もあるが富と美を併せ持つ国、それがシンガポールなのである。
そのシンガポールの空の玄関口であるシンガポール国際空港に一人の青年が降り立った。鋭い切れ長の細く黒い眼と光により茶にも見える細いくせのある黒髪を持つ引き締まった身体を持つ長身の東洋人の青年である。赤のカッターは上のボタンが開けられその下から黒いシャツが見えている。黒のズボンは動き易いスラックスである。彼の名は風見志郎、世界を股にかける探偵でありまたの名を仮面ライダーX3という。
かっては仮面ライダー一号こと本郷猛の後輩であり生化学研究室に籍を置き細菌の研究に従事する若き科学者であった。体操やモトクロスレースでも有名でありその将来を期待されていた。心優しい両親と自分を慕う妹に囲まれ何不自由ない幸せな日々を送っていた。だが彼はその全てを一瞬にして奪われることとなった。
ゲルショッカー壊滅後死んだと思われていた首領が新たに結成した組織『デストロン』の行動を目撃してしまった事により彼は命を狙われる事となる。デストロンの行動は執拗であり遂には彼の両親と妹までもが彼の目の前で惨殺されてしまう。
復讐を誓った彼はダブルライダーに自分を改造人間にしてくれるよう頼み込む。だが改造人間としての苦しみ、そして哀しみを知る彼等は一度はその懇願を振り切る。
しかし二人を救うべく瀕死の重傷を負った彼を見て二人は考えを変えた。彼の命を救うべく彼を第三の仮面ライダー=仮面ライダーX3に改造したのである。一号の技、二号の力を受け継いだ彼は立花藤兵衛や珠姉弟、そしてライダーマンこと結城丈二達と出会い共に戦い遂にデストロンを滅ぼしたのだ。デストロン滅亡後彼は日本を離れ表向きは探偵として世界を回り世界各地で暗躍する悪の組織と戦い続けた。クールな中にも哀しみと熱さ、そして暖かさを秘めた男である。
その彼を見下ろす何かがいた。
それは青白く燃える人魂だった。やがてその人魂は人程の大きさになるとそのまま人間の形をとりはじめた。
右に眼帯をした髑髏の顔をしている。黒い髪が髑髏から直接生え不気味さを一層際立たせている。赤を基調とし
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